ピオフィオーレの晩鐘の本編をプレイしたのは2019で結構前だったんだけど、続編のEpisodio1926がiOS版で発売されたので、やっとプレイできました!ピオフィオーレが一番好きな乙女ゲームだと言っても過言ではないぐらい素晴らしい作品でファンの方も多いので、感想をシェアしていきたいなと思います。
あらすじ
ブルローネ編、Alternativaとアンリー編という三つの物語に分かれており、FDではなく本編の続編となります。舞台はイタリアにある架空の街、ブルローネ。
ブルローネ編:
ブルローネマフィアたちと事件を乗り越え、恋人同士となった主人公は再び非日常へと巻き込まれていく物語。最初からキャラを選ぶので、金太郎飴感はゼロです。
Alternativa
誰とも結ばれないIFストーリーです。政府と教国の思惑により、新たな敵に翻弄されるマフィアたちは手を取り合って事件を解決しようとする。事件の鍵となる主人公もまた再び彼ら共に行動することになる。
アンリー編
ブルローネからフランスへ逃げて、同じ屋根の下で孤児たちのお世話をしながら静かに暮らしていく主人公とアンリー。とある事件をきっかけに再びブルローネへ戻ることになる。本編では恋人にならなかったので、これは二人の恋人になるまでの物語でもある。
ストーリー感想
三つの物語の中に、恋人からスタートするブルローネ編が一番好きだったかな。ストーリー重視で割と重い話で糖度は本編より少なかったけど、恋人同士の雰囲気や掛け合いがめっちゃ好きでした。糖度はキャラによって結構な差はありますが、全体的に高めだった印象。新しく追加されたキャラの中にはクズ率が高くてちょっと残念だったかな。でも、攻略対象とリリイの背景が本編より深く掘り下げられたんで中々面白かったです。本編と同じように√によって他にキャラが敵になったり殺し合ったりするので、決して軽い話ではありません。流血やエグい描写も多いため、そういうのが苦手な方には要注意。
Alternativaは共通が長くて誰を選んでもストーリーと結末はほぼ同じなので、周回プレイするのがちょっと飽きてしまったんです。それに、共通→個別ってわけではなく、長い共通の中に個別があっちこっちにあって金太郎飴感が強い。でも、各キャラにはそれぞれのエンドとスチルが用意され、選択肢と好感度によってエンドが決まるので、スチルコンプするために5周しなければならない。個人的に最初から最後まで個別であるブルローネ編の方が面白くて飽きることはないけど、金太郎飴感以外にAlternativaはIFストーリーとしては悪くはなかったと思います。
アンリー編
本編のアンリー√はギル√の分岐だけで恋人にならず駆け落ちみたいな結末になってしまったので、どうにも腑に落ちなかったです。でも、今回のアンリーと恋人になるまでの物語はしっかりと描かれているので、満足度が高かった!中途半端だった本編のアンリ編がやっと完成したって感じで非常によくできたなと思っています。
イタリアが舞台だからか、ヨーロッパの洋菓子やスイーツ、そしてカタカナの料理の名前が頻繁に出てきます。説明はちゃんとあるけど、洋菓子とかヨーロッパの料理についてさっぱり分からない私にとってはちょっと難しかったです。色々調べたり新しい料理や洋菓子について学んだりするのは楽しかったけど、数が結構多くてプレイ時間がどんどん長くなっちゃいました(笑)。
キャラクター
捨てキャラは一人もいないぐらい全員がすごく魅力的で、これが本作の特徴だとも言えるかな。本編と続編の印象はちょっと変わってきたので、好きな順が何度もひっくり返されたんだけど、本編をプレイする前の順、そして本編と1926の両方のプレイ後の順を書いておきます。
攻略順:ブルローネ編→Alternativia→アンリー編
ダンテ→楊→ギルバート→オルロック→ニコラ→アンリー
両作品のプレイ前の好きな順:ダンテ→ギリバート→ニコラ→オルロック→アンリー→楊
両作品のプレイ後の好きな順:ダンテ→楊→ギリバート→オルロック→ニコラ→アンリー
リリアーナ・アドルナート
幼い頃に親を亡くしてしまい、イタリアの教会育ちの純粋な女の子で信念深い。教会で同じように親を亡くした子供のお世話をしていたので、料理や家事が得意。本編ではちょっと世間知らずで無謀な行動をよく取ったり誰かに救われたりするばかりの弱そうな子だったけど、1926では凄く成長し、本作をプレイしている内に好きになりました。立場的にはできることは少ないけど、今回のリリイはもっとしっかりしているような気がしました。攻略対象を支えたり、自分なりに行動しようとしたりするのが本当に素敵で憧れますね。特にアンリー√では、アンリーに逃げられたばかりだったのに、諦めずに攻めていく姿がかっこよかったと思います。
ダンテ・ファルツォーネ(界人石川)
ピオフィの一番好きな攻略対象だけではなく、乙女ゲーム全般の中に一押しと言えばダンデです!この顔面偏差値の高さ、白髪と碧眼、そして冷静で真面目な性格。。。まさに私の全ての好みに完璧に当てはまる一番惚れちゃったキャラです。ダンデのクッションやアクリルなどのグッズも結構持っているぐらい大好き(笑)。恋愛になると遠慮がちで照れやすい感じでギルやニコラみたいに全くナンパとか口説きなどしないので、真摯な印象が強かったです。血統を重視するイタリア男なんだけど、まるで英国紳士みたい(笑)。それに、隠れて砂糖をコーヒーに入れたり、鳥にビビったりして、可愛いところもあります!
√は主に教国が大きく関わっていて、新キャラのテオが重要人物となります。見た目はリリィとめっちゃ似ているので、血の繋がっている兄弟か遠い親戚か何かと思っていたけど、リリィの両親が養子にした子だったとはね。リリィのことを心の底から憎んでいて殺そうとしたりするのがちょっと残念だったけど、ピオフィだし、そういうことですね。ダンテとギルの殴り合いのシーンもあっんだけど、止めそうになかったのでリリイがバケツで水をかけてめっちゃ面白かったです!
グッドエンドではテオはダンデに殺されるので、リリィとの和解するエンドがなくてちょっと残念でした。でも、やっとダンテがプロポースするんでスチルもめっちゃ素敵だったので、結末としては良かったと思います!バッドでは、ギルとダンデの決闘でリリィがギリに打たれ殺されてしまい、絶望したダンテは現れたアンリーに殺してくれと頼む悲劇的なバッドでした。
糖度は全員の中に中レベル。ギルとニコラより低いけど、オルロックよりちょっと高め。ダンテは真面目な性格だし仕方がないかも。
ギルバート・レッドフォード(森久保 祥太郎)
ギリはイタリアとアメリカのハーフでシカゴ出身。性格はかなり自信満々で明るくて、どの√でもリリィの味方でいようとする心が広い。ナンパが得意感じでカリスマ性もあり、街の女性にもとても人気だけど、決してチャラではありません。全員の中に糖度が一番高かったのはギルだったと思います。特に一緒にお風呂に入っていたシーン。。。そしてスチル付きで。。。あれはなかなか衝撃的でしたね。リリィもギルを支えたいという一心でオリヴァーから経済学とか色々勉強したりして可愛いカップルだなと思いました。
√ではアメリカのシカゴからやってきたギルの父親、ユージーンが大きく関わっていているんだけど、血が繋がっているとは思えないクズ男です。お金のために麻薬をギルに売ろうとしたり、六凰会の幹部である袁の言いなりになったりする臆病な男だけではなく、違う女性と子供ができたので、ギルにはジャックという腹違いの弟がいるんです。ユージーンを殺しに来た暗殺者なんだけど、腹違いとは言え血が本当に繋がっているとは思えないぐらいギルに全く似ていないダサい男です。性格はちょっと愛嬌があるけど、極めてバカですね。
グッドエンドが中々良かったと思います!リリィと一緒にブルローネを出てギルの地元であるシカゴで幸せで暮らしていくハッピーエンド。それに、経済学を色々学んできたリリイにも机があり、パートナーとしてギルを支えていく素敵な結末でした。ユージーンはギリと和解せずに袁に殺されてしまうけど、こういう父と息子の不仲な関係はよく見かけるものですね。
バッドエンドは涙が出そうなぐらい悲しかった。リリイは脳衝動によって記憶を失ってしまい、ギルとの関係を最初からやり直すことになってしまう。これは「きみに読む物語」という昔の洋画と結構似ているなと思っていました。
楊(岡本信彦)
本編をプレイした時にかなり過激的な√で苦手だったけど、本作の楊を結構好きになったかも。本心が分かりにくくて本当にリリィが好きかどうかずっと曖昧な感じだったけど、最後の最後にやはり心の底からリリィのことを愛していたんじゃないかな。バッドエンドを見た時に楊の表情からそう思ったんです。糖度はギルとほどではないけど、全体的に高め。楊のたまにするとんでもない発言もすごく面白くて何度も笑っちゃいました。例えば、イタリア女性がお正月に赤い下着を着るらしいからそれを見せろとか、鍵の乙女の資格は処女であることなら、失いたいなら誰とでもいいとか。それに躊躇いもなくみんなの前で言うし。。。本当に面白かった!
√に関しては、六凰会の幹部である袁と彼に部下、睿が重要人物となります。楊は子供の頃に袁に拾われて名前も与えられたけど、睿の両親を殺した極悪人でもある。簡単に誰でも殺せる冷徹で残酷な男なんだけど、楊が何度も挑んでも勝てないぐらいめっちゃ強い。睿っていつもダルそうで話し方も面白かったので、新キャラの中に一番気に入ったキャラでした。
グッドエンドではリリィと一緒にロンドンへ行くことになります。楊の本心をやっと見られた気がするんで、素敵なエンドだった思います。バッドは予想通りだったけど、リリィを庇って二人が袁に刺された死ぬ残酷な結末でした。
ニコラ・フランチェスカ(木村良平)
ニコラは本編では苦手なキャラだったけど、本作ではちょっとマシになった気がします。前作のような裏切りとか訳のわからない行動が少なくて糖度もギル並みに高かったので、思っていたより良かったです。嘘つきであるところはあまり変わっていないけどね。明るくてナンパが上手でエスプレッソも大好きみたいで、全員の中に一番イタリア男って感じだなと思いました。白いジャケットを着ているんだけど、ちょっと白衣っぽい。
√に関しては、ヴィスコンティと協力しながら仕事をこなし、新キャラのラウルが重要人物として登場する。ラウルはファルツォーネの遠い親戚でローマで暮らしているが、マフィアのやり方が気に入らないらしい。ユージーンのようにあまり期待できないクズ男です。
ニコラの過去について色々描かれていて中々面白かったと思います。例えば、軍人だった時の話とか母のことなど。アンリー√では語られていたと思うけど、子供の頃にニコラはアンリーと一緒に遊んだりイタリア語を教えてあげたりしてめっちゃ可愛かったです!友人同士のままでいられたら良かったのにな。
寝起きの軽いプロポーズのシーンがあって何かの冗談だと思っていたけど、本気だったらしい。でもグッドエンドではちゃんとプロポースするんで安心しました(笑)。バッドではリリイだけが殺されてしまい、ニコラが一人でファルツォーネで仕事に戻るって感じ。ラストではリリィに会いに行くために自害しそうに見えたけど、想像のお任せするって感んじで終わっちゃいました。どうなったんだろうね。
オルロック(豊永 利行)
若い頃から戦闘員として厳しいトレーニングを受けた教国の使徒。可愛い見た目の割に誰にも負けないぐらいめっちゃくちゃ強くて「殺戮人形」だとも言われている。ショタ系キャラは好みではないけど、オルロックが意外と気に入っていたんです。18歳で戦闘ばかりやってきたせいか恋愛になるとすごく初心で鈍感なんだけど、そういうところがちょっと可愛かったなと思います。でも本編もそうだったけど、糖度がほぼないというかキスぐらいかな。他のキャラのように色肌シーンなどは全くなくて全体的に純粋な愛。いわゆる、楊とは正反対(笑)。
任務で数多くの人を殺してきたオルロックはこれからどう生きていくのかってのが√の重要な点です。命令に従って何も考えずに殺したりするのではなく、自分の意志で行動すると決めたオルロックの成長がすごく良かったと思います。殺すための強さではなく、人として生きる強さが欲しいと、かっこいいですね!
グッドエンドはとても可愛くて幸せでした。全員の中に一番成長したキャラだと思ったし、心の底からリリィのことを愛しているでしょうね。背景や育ちのこともあって恋愛感情に気づくのは結構遅かったけど、最後に男らしくなろうとするところが素敵だなと思いました。バッドでは、二人が火事で死んでしまうんで中々絶望的な結末でした。
アンリ・ランベール(立花 慎之介)
本編のアンリー√がさっぱり分からん状態で終わってしまったので、一番期待していたのはアンリー√でした。まだ恋人ではないけどフランスで同棲しながら孤児のお世話をする二人。リリィはアンリーに対して好意を抱いていて何度もアプローチしようとするけど、アンリーに逃げてばかりで本当に面倒くさそうな男だなと最初に思いました。男なのになんでそんなに堅いのかなって。リリィは綺麗で優しいし、同棲しているし。。。
- Alternativaと似ているような話で敵キャラも同じ奴なのでストーリー的はちょっと飽きるところはあったけど、恋人までの道が丁寧に描かれていて悪くはない話だったと思います。子供達を無惨に殺害したセバスティアーノという男を見つけ出すために二人がブルローネへ戻ることになります。リリィを巻き込みたくないという理由でアンリーは、ソフィアの協力を得て彼女を睡眠薬で眠らせてファルツォーネに預けてどっかへ隠れながら一人で事件を解決しようとします。リリィがあまりにも可哀想だなと思っていたけど、アンリーは彼女を思ってそうしていたんじゃないかな。でも、行動力のあるリリィはそう簡単に引き下がる訳なく、オルロックやマフィアたちのおかげでアンリーを見つけ出して会いに行く。彼女の積極的さがすごく好きでかっこいいなと思いました!アンリーって本当に草食系の塊ですね(笑)。女性から追わないとうさぎみたいにピョンと逃げてしまうし。
- エンドに関しては、グッドエンドではやっと結ばれます!リリィにとっては本当に長く険しい道で、相当苦労したんだろうなとしか思わなくて(笑)。他のマフィアたちがどんなに背を推しても全く手を出さない草食系のアンリー。ある意味紳士的なんけど、男らしいとは言い難いかもね。バッドエンドはエグくてあまり好きではかったんです。アンリーがセバスティアーノに囚われて洗脳されてしまう。その後、リリィもおびき出してアンリーと同じ部屋に。洗脳されたアンリーはリリィを襲いかかったり鎖でベッドに縛ったりするんで、マジでヤバかったです。
糖度:★★★★☆
本編より低いなと思ったのですがが、多くの乙女ゲームに比べたら高い。キャラによって差はあるのがちょっと残念なところではあったけど、キャラの性格に沿っていたのでそんなに気にならなかったかな。一押しのダンテ√の糖度をもうちょっと増やしてくれれば良かったなと思いますが。糖度の順番(高→低):ギル→ニコラ→楊→ダンテ→アンリー→オルロック、だと感じました。
音楽・イラスト:★★★★★
全体的に完璧で大満足!絵師はRIRIさんで私の一番好きなイラストレーターです。スチルの数はそんなに多くはないけど全てがとても綺麗だし、欲しいところにはちゃんとスチルが出てきます。音楽に関しては、OSTを買いたくなるぐらい素晴らしかったと思います。特に戦っている時のテームが一番気に入りの曲でした。
システム:★★★★☆
普通に良かったです。選択肢までのジャンプはないけど、スキップ機能が早くてフローチャートもあるので、本編より攻略が楽でした。それに、MSは本編のようにエンドには影響がなくて巻き戻しもできるので、エンドは回収しやすい。ARIAという本編へのフラッシュバックもあるんだけど、本編の話はなんでしたっけと思った時にはめっちゃ助かりました。それに、攻略対象からの視点なので、彼の心を知ることができるってのが結構面白かったです。
総評:★★★★★
刺激的で奥深いストーリーが好みで糖度も欲しいので、両方をほぼ完璧に成し遂げたピオフィオーレが今までプレイしてきた乙女ゲームの中に一番好きな作品です。攻略対象のみんなは魅力的で捨てキャラがないのもすごく良かったし、最後までめっちゃ楽しめました。
本編ほどの糖度はなかったけど、同じレベルの刺激があってピオフィオーレのファンならぜひプレイして頂きたい作品です。途中バッドはいくつかありますが、攻略は本編よりちょっと楽になった気がします。自力で攻略したい場合は選択の前にセーブしておくのがおすすめ。
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
音楽・イラスト:★★★★★
金太郎飴感:★★☆☆☆
糖度:★★★★☆
プレイ時間:60時間ぐらい
おすすめできる方
- 刺激的で真面目な話を求めている
- ストーリー重視の作品がいい
- ボリュームたっぷりの作品をプレイしたい
- バッドエンドや悲劇的な要素が好き
- 本編のファン
- 自己投影しない
おすすめできない方
- バッドエンドが苦手
- 殺し合いや流血、戦闘などの暴力が苦手
- 本編は未プレイ
- サクサクと進みたい
- 自己投影したい
- 軽くて甘い話を求めている