イギリスに住んでいるんだけど、イギリスの童話であるアリスという設定が結構好きなので、白と黒のアリスとFDのトワイライトラインを合わせて購入しました。キャラデザインは凄く可愛いし、W主人公は本作が初めてだったので、好奇心いっぱいでプレイして見ました!

あらすじ

白と黒の世界、この二つの世界が同時に存在するのが本作の舞台。白の世界は私たちの現実と似ている普通の世界。黒の世界は「不思議の国のアリス」のような魔法に溢れている奇妙な世界。

 

白の世界では、平穏な日々を送っていた高校2年生の主人公、「愛日梨」は、放課後に黒うさぎのレインという黒髪の青年に捕まって、黒の世界に連れて行かれた。レインに「アリス、お前はこれからこの世界の女王になるんだ」と言われたところから白の物語が始まる。

 

黒の世界では、もう一人の主人公「ルナ」が女王として国を治めているのだけど、彼女の暴走によりクーデターが起きた。側近である黒うさぎのレインと白うさぎのスノウは「女王を白の世界へ避難させ、新たな女王候補を連れてくる」という計画を実行し、ルナは白の世界へ追放され、代わりに愛日梨は黒の世界へ新しい女王として連れてこられた。

 

交換された双子、女王のルナと高校生の愛日梨、そして二つに世界に秘めている真実とは。

 

ストーリー感想

ストーリーは深くはないけど薄くもない、多少ダークな感じです。アリスという童話のような設定ではあるものの、吸血のシーンが割と多くて、アリスとの関連性を疑問に思っている方もいるでしょう。血の階級制度があって、第一級はアリス(主人公二人だけ)、第二級(特殊能力あり)と第三級(普通の人)に分かれており、血によって位置づけられています。血に関する描写は多めなので、流血や吸血が苦手な方にはお勧めできない作品かな。

 

気になったのは、W主人公の事でした。平等扱いなら良かったけど、一人がかなり贔屓されているような気がしました。愛日梨は仲間なしの状態で黒の世界に放り出され、守られるばかりの孤独な存在になる反面、ルナは自分が治めていた国から追放され、白の世界で友達などを作ったりして、帰還しようとする。どっちかというと、ルナの扱いの方が雑というか悪人扱いされたなと感じました。

 

格キャラには白と黒グッド白と黒のバッドの四つのエンドが用意され、金太郎飴感がほぼなく、ボリューム的には丁度良かったです。バッドエンドにはちょっとエグいものはある(特にジャックとネロ)けど、しっかりと描かれている事がすごく良かったです。おまけ要素としては格キャラからの手紙と全員とのお茶会の話もあります。

 

プレイ時間:30時間ぐらい

 

キャラクター

 

 

 

白の物語の主人公は愛日梨で、攻略できるのはレイン、ミネットとネロ。黒の物語の主人公はルナ、攻略対象となるキャラはスノウ、ジャックとカノン。攻略制限はないけど、真相はレインとスノウ√で明かされるので、ネタバレを防ぐために最後に回した方がいいかと。自分は早速真実を知りたいせっかちな人間なんで、それに一番好きそうなキャラからプレイしたいので、レインを最初に攻略し、スノウをその次に攻略してしまいました(笑)でも、後悔は一切ありません!

 

攻略順:レイン→スノウカノンジャックミネットネロ

 

おすすめ順: 白→黒→白→黒→白→黒という形でプレイする、そして黒か白の√を全てクリアしてから片方をプレイするという二つの方法はあるけど、白と黒を交代しながらプレイした方が飽きにくいかもしれない。

例えば、ミネットジャックネロカノン→レイン→スノウもしくはジャックミネットカノンネロスノウ→レイン。

 

プレイ前の好きな順:レイン>スノウジャックカノンミネットネロ

プレイ後の好きな順:レイン>スノウカノンジャックミネットネロ

 

 

愛日梨

逢山学院高校の2年生で、穏やかで優しい性格。オトメイトありありの純粋で可愛い主人公です。強気なルナとは正反対、常に守られているか弱い子で、騙されやすくて人を疑わない感じ。黒の世界に連れられてから暗くて沈んでいる顔が多かったんだけど、物語は進んでいくとどんどん元の明るさが戻ってきており、全体的に好印象でした。

 

ルナ派のプレイヤーの方が多かったようだけど、個人的に愛日梨の方が好きだったかな。世間知らずでナイーブには見えるけど、実際は色々見てて、人の気持ちを察したり空気を読んだりするのが得意で、思いやりもあって可愛かったなと思います。外見も物語のアリスと同じ感じなので、アリスと呼ばれているのでしょうか。ルナはアリスではなく「ルナ」か「女王様」だと呼ばれているけど、愛日梨は「愛日梨」か「アリス」と呼ばれている。「アリス」って双子の女王の血の事を示しているようだったので、ちょっと不思議に思いました。

 

 

ルナ

黒の世界の女王なんだけど、暴走により白の世界に追放され、代わりに愛日梨が女王にさせられる事に。性格は真面目で意見をきっぱり言う強気な子で、責任感が強くてプライドも高い。大好物はイチゴで、サラダやカレーにも入れるぐらい大好きらしい。女王が自分以外の誰かであることを許さないぐらい女王としての誇りを持っています。ルナは愛日梨とは正反対な性格で、正に白と黒って感じですね!

 

苦手ではなかったけど、性格や言い方がたまにちょっとキツかったかな。でもこういうタイプの主人公ってあまりいないので、新鮮だったし、人気である理由は納得しました。恋愛に関してなんだけど、意外とかなり初心なんです。子供の作り方を純粋に知らないらしい…スノウと付き合ってから真面目な顔で子作りの方法を素直にに聞くルナ。最初は冗談か皮肉かと思っていたけど、本当に知らないらしくて、え?!と思っていたけど。。。ドードー鳥が子供を運んでくると思い込んでいるみたいで、こっちの方が恥ずかしかったです。FDにも同じ事を聞いてしまい、またこの話か?!もう2度と聞きたくないよ…この事のせいかルナより愛日梨の方が好きになったわけです。

 

レイン

本作の推しキャラがレインでした!黒の世界の女王の側近で黒うさぎなんだけど、魔法で耳と尻尾を隠しています(FDで理由と方法が判明)。性格は凄く真面目で仕事熱心なんだけど、冷酷な一面もあります。特にルナに対しては憎しみを滲み出しているような感じ。最初は愛日梨に対してもかなり冷たくて扱い方も乱暴というか雑だったんだけど、凄い遠回しの感じでどんどん優しくなっていきます。でも、彼自身の√以外では敵キャラとしてかなり冷たい。特にルナに対しては酷くて殺そうとしたりするので、最初に攻略しなければ、好きになれなかったかもしれない。その反面、白サイドの愛日梨に対しては割と過保護で普通に接してくれます。やはり愛日梨を贔屓しているかな。外見はめっちゃ好み!黒髪でミディアム、赤くて鋭い目、そして常に仏頂面が大好きでした。

 

黒グッドでは二人のアリスが同時の女王になってめでたしめでたしって感じ。白グッドでは愛日梨がレインを救うためにレインを白の世界に突き飛ばしてから、二つの世界をを繋がっている鏡を壊しすんです。レインが黒の世界の事を忘れてしまい、二人で学生として白の世界で生きていくことになります。このエンドがちょっと微妙だったかな。黒の世界や王家に忠実だったレインにとっては悲しい結末だったんだろうし、愛日梨も罪悪感を感じているようでもやもや感のあるエンドだったと思います。愛日梨はルナのように暴走して死刑判決しまくる黒バッドってかなり衝撃的だったけど、割と好きなバッドでした。レインが可哀想だったけど。

 

 

スノウ

レインの双子の兄で女王のもう一人の側近で白うさぎ。スノウは二番目に好きでした!性格は穏やかで常に冷静、いつもニコニコしていて怒る事がほとんどありません。でも、実は何を考えているのか分からない腹黒で嫉妬深い。皆に対しては優しいけど、怒っている時は微笑んでいながら何も言わずにじっと見つめたりして、本音を隠すのが得意だなと。

 

ルナを必死に守ろうとしたり世話を焼いたりするスノウが凄く好きでした。自分の嫉妬を気づかないところも可愛かったと思います。それに、自分より太刀筋のいいレインがやってくると全力で戦ってくれるし、ルナの事を本当に大切に思っているんだなと伝わってきました。他の√にも優しいけど、微笑みの裏にある厳しさもあって、結構気に入ったキャラでした。

 

黒グッドはレインと同じだったけど、このエンドではルナの子供の作り方の疑問とドード鳥が赤ちゃんを運んでくるという話が出てくるので、最後は台無しになったと思います。白グッドでは二人で白の世界で研究の仕事をしながら普通の社会人として生きていく幸せなエンドでめっちゃ好きでした。それに、スノウの白衣とメガネ姿を見られる美味しいスチルもあります!

 

カノン

黒の世界で帽子屋を営む青年で、ファッション、スイーツとお茶会に拘っています。性格は皮肉っぽくて無関心、ルナとよく喧嘩したりするツンデレさん。帽子や洋服を自分の手で作成できるぐらい刺繍や裁縫が得意で、布・素材についてもかなり詳しい。

 

本作のショタ系キャラで私は苦手なタイプのはずなんだけど、カノンが結構好きでした!幼い顔立ちの割に大人っぽさもあって、そのギャップが好きでした。エンドに関しては全員の中に一番悲しかったと思います。先代の女王によって呪われ、自分の時間が止まって歳を取らなくなったせいで何百年か生きて、不死身のような身体で何人かの死を見てきた悲しい人生を送ってきたんです。そして、ルナを殺せば呪いから解放されるという難儀な決断をさせられ、ちょっと切なかったと思います。

 

黒グッドは幸せなはずなんだけど、個人的に多少悲劇的だったと思います。自分の呪いを解けずにカノンは時間の巻き戻し能力を使ってルナを赤ん坊の姿の戻し、彼女が16歳になるまでずっと待っていました。そしてある日、ルナと一緒に作ったドレスを見せにきて、ルナのカノンとの思い出と記憶が少しずつ回復され、恋愛の展開へ。白グッドではカノンの呪いが解かれ、二人は白の世界で帽子屋を一緒に切り盛りします。白グッドがとても幸せそうで一番好きなエンド、カノンの大人姿も素敵でした!

 

 

ジャック

城の親衛隊の隊長で戦闘能力が全員の中に一番高い。ルナへの執着が強くて彼女の事を最初から慕っているので、彼女の前だと常に緊張してソワソワする様子。性格は真面目で優しいけど、とんでもない泣き虫でビビりやすい。影からルナを観察するので、ストーカーと呼ばわれたりします。

 

ジャックはどっちかというと、変わったキャラだなと思っていたけど、外見的にはとても綺麗。ルナは愛日梨より結構積極的なので、踏み出せないジャックをグイグイとアタックするのが可愛かったと思います。ジャックはルナに対して尊敬と好意を既に持っているので、彼女のためには一生懸命。でもこの√では血飛沫と流血が他より多く、バッドもかなりやばかったです。ルナは黒の世界に戻り、ジャックに命令して愛日梨を含めて皆殺しというかな残酷で血塗れのバッドでした。

 

白グッドは白の世界では普通の生活を送るんで、まあまあって感じかな。黒グッドではルナが女王として復帰し、ジャックは新しい能力に錯覚するけど、維持するためにルナの血を吸わなければ。ちょっと上下関係ありの恋愛なんだけど、スチルが甘くて凄く良かったです。

 

ミネット

魔法使いのチェシャー猫がモチーフとなっている青年でジャックの幼なじみ。神出鬼没でいつもフラフラしていて、言動も読めない不思議なキャラ。全ての√では優しく味方でいてくれるミネットなんだけど、こういう曖昧でチャラそうなタイプってあまり好きじゃないかな。

 

実は公爵夫人のミステイという貴族の女性に飼われていて、彼女の命令に逆らえない呪縛にかかっています。一応彼女に拾われたので、悪いことをさせられても恩を感じているようです。例えば、婦人の若返り薬を調合するために、愛日梨を屋敷に誘導し、薬で彼女を動かないようにしてから採血を繰り返す非道なやり方。これを見るのが本当に辛かったな。呪縛のせいでミネットには選択肢はなかったんだろうけど、愛日梨って凄く純粋で素直だし、ミネットを心から信用しているので、余計に可哀想だなと思いました。

 

白グッドでは愛日梨が一人で白の世界に帰り、ミネットは黒の世界に残って魔法使いとしての多忙な仕事を続くので、遠距離恋愛の状態になります。遠距離恋愛って乙女ゲームにはあまりないけど、幸せというよりちょっと切なかったと思います。黒グッドでは二人が黒の世界に残って、ミネットが城で仕事することになり、愛日梨が女王のままで。どっちのエンドにも未解決の部分があって、微妙でした。

 

 

ネロ

城と城下を往復する商人の三月うさぎ。レインとスノウと同じうさぎなんだけど、彼らのように耳を魔法で隠していません。自分の庭でカノンとラッテと一緒によくお茶会を開いたりするんで、大好物は人参料理と人参味の茶(本物のうさぎみたいですね!)。性格は気さくで明るくて細かい事を気にしないタイプ。

 

全員の中には一番普通の男性って感じかな。表は優しい青年でクラスの人気者なんだけど、私はレインのような真面目でクール系の方が好きなので、個人的に苦手なキャラでした。√自体が意外とかなり暗かったです。表は商人なんだけど、本業は死刑執行人で親もそうだったので、その運命から逃れないとのこと。白の世界でもひっそりと何人か殺しまくったりするとか、結構物騒だなと思いました。

 

黒エンドでは愛日梨が女王のままなんだけど、ネロは死刑執行人の仕事から解放され、レインたちのように側近習いになります。最初は失敗が多くてスノウによく注意されていたけど、愛日梨のために頑張っていくって感じで、結末としては良かったです!

 

白エンドでは二人が白の世界に戻り、ネロは錯覚した能力を使って今まで殺してきた人たちを復活させるために旅に出ます。その後、カフェで働きながら愛日梨と普通の生活を送っていくんで、これも幸せなエンドで良かったと思います。ネロのバッドなんだけど、愛日梨を刺し殺すエグいエンドで結構ショックでした。相手に殺される露骨なエンド苦手なので。

 

糖度:3.5星

普通のキスやベッドシーンよりも吸血シーンの方が多いので、3.5星にしました。主人公の二人は結構若いし、ルナの子作り疑問の件もあるので、ニルアドやピオフィほど高いとは言えませんね。吸血ってそんなに好きじゃないけど、キャラによっては甘かったです。特にジャック、カノン、スノウとレイン。白より黒の糖度の方が高かった感覚ですね。糖度はルートによって違うので順番(高→低)を付けるのだとしたら、この感じかな:ジャック>レイン=スノウカノンネロミネット

 

イラスト:4星

絵師がもちもち太先生なんだけど、乙女ゲームの担当としては本作しかないようです。イラストやキャラデザインはどれも可愛くて衣装も素敵で、結構に気に入っています。気になっていたのは、欲しいところにはスチルはなかったけど、要らないところにあったって何度も感じていたので、ちょっとイライラしていました(笑)。

 

 

総評:3星

 

良かった点

  • ボリュームは短すぎず長すぎずちょうど良い。
  • 最初から攻略キャラを選べられるので、金太郎飴はほぼない。
  • 共通√はほぼない。
  • 吸血が好きならきっと楽しめる。
  • バッドがしっかりと描かれている。
  • アリスの作品は多い中、ストーリーが中々面白かった。
  • イラストは綺麗。
  • 攻略制限はない。

 

気になった点

  • 白と黒の糖度の差が大きい(黒>白)
  • レインとスノウの黒グッド(真相)はほぼ同じ結末。
  • 欲しいところにスチルがなかったけど、要らないところにはあった。
  • 主人公の扱いは平等ではない。
  • 吸血と不思議の国のアリスの関連性がイマイチピンと来ない。
  • 個人的にW主人公より一人の方が好き。
  • 血が苦手な方にはおすすめできない。