続きですキョロキョロ

助産師Nさんの内診の結果、無慈悲にも子宮口が頑なに動きを見せない事実に、失意のドン底に突き落とされた私。

このNさん、私が陣痛に悶え出すと、側に来てくれて、腰をさすって下さるのですが、

無言

なんですよね真顔

そして、必ず腰とともに腹にも手を当てて、私のお腹の張りを感じようとなさるのです。

張りがある=陣痛の波がきている
なので、張りが治った瞬間に即座にさするのをやめて別の作業したい!

と、思ってるんだろうな、、、と感じました。

……こうしてさすって下さるだけで有り難い事ではないか、尊い職業やで、このお仕事は……

私はそう思う事にしましたウインクいや、うん、別にNさんが間違ってるわけじゃないんですよね。
でもなんか、なんか嫌だなって思っちゃって。。。
無言なのも、なんか責められてる様で。。。

「まだ大して痛くもない癖して喚きやがって」
「もう張ってないじゃん。痛くない癖に呻いても、こっちはすぐわかるんだから、こちとら無駄にさすってる暇ねーんだよ」


…Nさんからそう言われたわけでは全くありません。
でも、肉体的にも精神的にも磨耗していた私は、勝手にNさんの心を想像し、そんな自分にも自ら疲弊していったのです。

子宮口6センチと言われて10時間後の深夜2時の内診で、

「変わってないね。赤ちゃんもまだ上の方にいて、降りてきてない」

とNさんに言い渡され、

私はたまらず、促進剤投与の同意書にサインしました。

有効な陣痛を巻き起こし、子宮口を少しでも押し広げて前進する為に!!

状況が一向に変わらない、という事にこんなに追い詰められるなんてえーん

だいぶ消耗していましたが、私は促進剤に一縷の望みをかけ、消えかけていた闘志の炎を再び燃やしました真顔炎


炎炎炎


促進剤を投与してからしばらくして、1ランク上の痛みが襲ってきました!

会話する余裕はなくなり、叫び声が出始めました雷

これはいけるのじゃないだろうか!
きっと有効な陣痛の筈‼︎‼︎

痛いけれど、これを越えなければ、子宮口が開く事はありません炎この先にある幸せの為、耐え続けました炎




そして、深夜3時頃でしょうか。

Nさんと他の助産師さんが会話しているのが細切れに聞こえました。

「…19歳の初産婦。うん、子宮口6センチ…」
「かなり進んでるっぽい。産まれそう…」

どうやら、この深夜に、これから19歳の妊婦さんがやって来るようです。
しかも、私と違って、今にも産まれそうな様子との事。

それを皮切りに、私の周りから人が消えました。

今日は日曜。助産師さんの人手も足りません。
まもなく産まれそうなお産に、総力上げて挑まれているわけです。

3〜4分間隔の陣痛の合間に、かなりお産の進んだ19歳さんの、有効な陣痛による叫び声が聞こえてきました。

「痛い痛い痛ーい!!!!!!!
「もう無理、嫌だ痛い痛い痛いあああああ」
「ぎぃゃあああいああああ!!!!!!!」

それを一人で聞きながら、自らの叫び声と時に重ねながら、取り残された私は、「しょうがない」と必死で言い聞かせました。

別に誰も悪くない。

世界で一番かと思うほどの孤独感と心細さに押しつぶされそうになりながら、必死で痛みをやり過ごし、言い聞かせていました。

そして1時間後くらいでしょうか。

「んぎゃあ ふぎゃあ んぎゃあ」

お母さんの苦しげな叫び声が途切れ途切れになり、かわりに明らかな赤ちゃんの産声が私の耳にも届きました。

 

炎炎炎




「ごめんね」
と言いながら、私の元にNさんが来てくれたのは、朝6時になろうかという頃だったと思います。

私(待ってました!こんだけ痛みに耐えたんだから、さすがに少しは開いてるでしょ)

(19歳さんにさくっと先を越されたのはショックじゃなかったと言ったら嘘になる。でも、少しでも進んでるなら、それでいい)

Nさんはすぐに内診してくれました。






「……6センチだね。赤ちゃんまだ少しも下がってない」







い や う そ や ろ







チーン






チーン




灰になりました


続きます照れ