台湾の格安航空が新潟空港に初就航、県外観光でも新潟空港の利用促進を | 希望のブログ 上越新幹線の新潟空港乗り入れ

希望のブログ 上越新幹線の新潟空港乗り入れ

東京一極集中の緩和、地方の活性化、新潟の人口減少抑制、経済活性化、国土強靭化のため、上越新幹線の新潟空港乗り入れを考える。人口、経済、GDP、保健福祉、政務活動費、議会活動などにも関心を持っています。専門統計調査士。

格安航空会社(LCC)のタイガーエア台湾の台北線が今年1月17日、初めて新潟空港に就航した。
1月29日付の「訪日客 隣県へ流出」と題した地元紙 新潟日報の記事で、ツアー客は弥彦神社や月岡温泉、ふるさと村などの新潟県内を巡ったほか、山形県蔵王の樹氷や福島県の鶴ヶ城なども見て回ったという。他県が補助金を使って、新潟空港からの訪日客を獲得する現状に「本県は国際線再開の好機を生かし切れていない」と記事にある。

1月29日の新潟日報

また、2月9日付の日本経済新聞では、新潟県は山形県や福島県のようにインバウンド向け補助金を設けていないが、県内の企業や自治体でも、県の補助金を望む声が多いという独自調査の結果が掲載され、糸魚川市観光協会ではバス代の補助を開始予定とのこと。記事の最後で「なぜ隣県を選ぶのか、といった現状の的確な把握・分析が必要だ。「選ばれる新潟」へ向け、官民の協力が欠かせない。」とある。

2月9日の日本経済新聞

新潟県と比較されることの多い宮城県。その空の玄関口である仙台空港の国内線到着口には、東北6県のインパクトあるオブジェ「ウェルカムウォール」があり、仙台空港から東北6県へ旅立つお客様を歓迎し、同空港を起点に東北と世界が活発に交流されることを願って設置されたという。

仙台国際空港のウェルカムウォール

また、山形駅や日本海に面した酒田市などの山形県内、福島市や会津若松市などの福島県内などと仙台空港とを結ぶバス路線もある(コロナ禍の影響で一部区間は運休中、ただし、山形県の蔵王線は冬季間運行している)。
同空港のホームページには、仙台空港鉄道経由で東北各県への鉄道・バスの所要時間が掲載されていたり、各県の観光案内へリンクするバナーもあったりして、宮城県の空港としてではなく、「東北の空港」としての利用促進が図られている。

仙台国際空港HPより

一方、新潟空港はどうか。同空港と福島県会津若松市とのバス路線はあるものの(コロナ禍の影響で一部区間は運休中)、同空港と県内外との移動の多くは新潟駅を経由する必要があり、その公共交通はバスのみで、交通状況により所要時間が心配となっている。同空港のホームページは、県内観光や県民の利用を目的とした紹介などの構成となっており、隣県との連携、協力関係があるとは言い難い。

新潟空港は「新潟県の空港」という意識が強い一方で、他県との連携が弱く、政策の決定・実行などで新潟の歩みの遅さが目立つ。
陸海空の総合ターミナル化などを含む「新潟港将来構想」は、2014年に新潟県によりできてから来年で10年となるが、進捗状況はどうなっているだろうか。
昨年から県で「新潟空港将来ビジョン検討協議会」を開催しており、年度内に「新潟空港将来ビジョン」を取りまとめるとしている。新潟港将来構想のような経過(立派な構想を作っておしまい)にならないか疑念を持っている。
こうした新潟の牛歩のような動きが、様々な面で新潟と宮城の勢いの差に現れていると思う。

宮城県では、JR仙台駅と仙台空港との間で、2007年に空港アクセス鉄道が開業した(仙台ー名取間はJR線)。仙台空港鉄道の道のりは厳しく、平成3年に仙台空港鉄軌道系アクセス検討会が発足(国、宮城県、関係市等で構成)したものの、JR東日本からJR線としての整備について採算面から拒絶されたが、あきらめることなく、新たに第三セクターを設置して空港アクセス鉄道を整備することになったという経緯を持つ(山形県も出資した)。そして、2011年3月に東日本大震災の大津波の被害を受け、同年12月、宮城県は震災からの完全復旧と空港の収益向上への打開策として、仙台空港を民営化の方針を打ち出し、同空港は2016年に国管理空港として全国で初めて民営化した。

仙台国際空港と仙台空港鉄道の仙台空港駅

一方の新潟県。上越新幹線の新潟空港乗り入れは、上越新幹線新潟ー大宮間の開業(1982年)の前から構想があり、新潟県議会の議事録を見ると30年以上も前から一般質問などで質疑されたり、空港アクセス、空港活性化の様々な会議や協議会が設立されたりしているが、構想の推進も廃止も決めることはできず、未だ塩漬け状態が続いている。報道によると、現在設置されている「新潟空港将来ビジョン検討協議会」の議論では、空港民営化はまだまだ先の模様だ。

ちなみに、ちょうど42年前の1981年(昭和56年)2月11日、革新系の川上喜八郎市長のもと、新潟市は「市報にいがた 都市問題懇談会提言特集号」を発行し、提言の一つに、上越新幹線の新潟空港乗り入れを盛り込んでいる。

市報にいがた 都市問題懇談会提言特集号より

もし、新潟空港の到着口からすぐに上越新幹線に乗り換えることができたら、約50分で魚沼地域へ簡単に行けてウィンタースポーツや雪景色を見ながらの温泉などを楽しむ訪日客が増えるだろうし、中越地域や群馬県などから新潟経由で簡単に海外旅行へ行くこともできるだろう。新潟空港駅(仮称)ー高崎駅間の乗客が増えることで、新潟県内の新幹線の運行本数も増えれば、新潟市民をはじめ新潟県民にとっても利便性の向上につながる。
2003年1月12日に新潟県が発行した県民だより1月号で掲載されたイラスト

また、新幹線と空港の利用客が増えれば、上越市や十日町市、佐渡市、村上市などの県内や山形県、福島県、秋田県、群馬県などとの交流人口も増え、バスやタクシーの利用、観光、製造業、農林水産業などにも経済効果は波及し、県民所得の向上につながると考える。

訪日客は新潟空港からなぜ山形県や福島県に向かうのか。私の感想で言えば、その理由は単純で、立派なお城を見たいし、樹氷の絶景も見たいし、山形県・福島県には国際線がないために新潟空港を使うほうが便利だから。

上越新幹線が直接乗り入れるガーラ湯沢

それなら、県内外の別なく、どんどん新潟空港を利用してもらえばいい。新潟空港を使ってもらうだけで県内に少しでも消費してもらえるし、空港で雇用が生まれ、その雇用者が生活などで消費して、他産業の利益につながれば、また雇用が生まれ、経済は活性化する。

新潟県は、今回の国際線再開に限らず、ずっとずっと以前から空港、鉄道、観光地等の県内外の資源を長年生かし切れていない。
非常にもったいない。