自由の条件I ハイエク全集 【新版】F.A.ハイエク著, 矢島 鈞次 監修 気賀 健三 他翻訳 | 夜半の月

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常ならむ 此の世と言えど あまりにも 想いはただに 夜半の月とは【自作】

徒然なるままに、医療や法律や経済や和歌などや音楽や映画やツーリングやエビアクアリウムについて書いて行こうと想います。研究者の目から見ての大学や受験についても書きます。

ハイエクはケインズと論争して対立する立場と言える。それは理論を仮想写像世界でのみ考える夢想家ハイエクと、理論を現実実像世界から構築する思想家ケインズとの対立で、そこから経済から法律や政策を考える際への立場の違いが発生する。
ハイエクは夢想家で有る為に市場や貨幣には無秩序でも、有る程度の時間をかければ秩序が発生するから、貨幣や市場に対して国家の干渉を排除して、試行錯誤の自由すら自由の一つとして国家は認容すべきだとし、国家の役割を夜警国家の自由放任主義で良いとする。上記の事からハイエクは法律と経済と歴史の素人で有る事を露呈し、法律が過去の失敗から学んだ経験から蓄積された叡智で有る事を無視し、経済は法律や自然科学と共に人命を左右する事を忘れて野放図で有る事を夢想し、貨幣は国家に取って社会安定と利益の源泉で金融政策の要で経済の豊かさと人命を左右する事を認識していない。
したがって、ハイエクを規範と経済政策や金融政策の基本にすると先進国世界最悪の犯罪多発貧困格差国家アメリカみたいな国家が出来上がる訳で有る。
池田氏や中谷氏など7つの学派を無理に集めた内部に矛盾を秘めた完成した古典理論の新古典派経済学にとって唯一の野放図に据えられる古典と言え、精読すれば新古典派経済学を否定するアダムスミスよりは安心出来る題材とされているが、池田信夫氏や新古典派経済学者はハイエクをアメリカが成功していると規定するが、レーガノミクスもサッチャリズムもオカルトで実体経済が破綻してイギリスでは労働党による修正が行われ、アメリカでは花見の経済で誤魔化しているがフェデリーマックとファニーメイが何百兆の不良債権を抱え込み不気味な地獄の釜の蓋は開いてしまっているが、勿論ハイエクの発想では実体経済の回復が不可能なのは現在に至るまでの歴史が証明している。
日本は現在キャリア試験においてハイエクと新古典派経済学に依拠して考査されているから、財務省も内閣府も日銀も自民党も機能しないで無為無策で借金ばかり積み上げるので有る。
他山の石として欲しいもので有る。
特に読んで欲しく無いのはショーペンハウエルが主張する他人に簡単に思考が乗っ取られる浅学で総合的に判断出来ない人間で有り、それは経済学分野では本質的機序を大事にする数学的発想が無くアダムスミスやケインズやマルクスをキチンと読みこなせていない人間で有る。
満足度:
★☆☆☆☆