●たぶん、むずかしい…いや できるかな?

大崎 善生
傘の自由化は可能か

「パイロットフィッシュ」「アジアンタムブルー」などを書いている著者。

この「パイロットフィッシュ」のなかで 



『駅やコンビニや飲み屋に自由につかっていい傘を置いておいて、使いたい人が使ったらいいシステムにしたらいいんじゃん』



というような会話があったんですね。

このタイトルは まさにあの傘でしょ!と思いました。



開いてみたら、エッセイ集でした。



表題作もちゃんと載っています。

傘の自由化は、2002年戸田市で実際に起きていたらしい、と書いてあるんです。へぇぇ。

善意の傘、と名付けられ1000本用意されたけれど…やがて一本もなくなり、一本も返って来なかったとさガーン



そういえば、知人のblogを読んでいて、東京都内で同じようなことをしているコンビニがあることを知りました。

blog主が、その傘をさして帰ったらしいけど、数日後のblogには「返してない!気が向いたら返そ」と書いてあったっけ。

そんなもんかぁ。



この本自体は、

いろいろな雑誌などで発表したものを纏めたようで、おなじ題材をつかって違う角度から書いていたりもします。

傘以外のエッセイも、けっこう楽しくよみました。

とくに、事件をとりあげて はるばるフランスにまで取材に行った話は注目でしたね。


「33歳指揮者と19歳女子大生が、ウィーンで心中」


どうして、なにがおこったの?を自主的に取材していたのだそうです。そして「ドナウよ、静かに流れよ」が生まれたそうで。

作品がうまれる、裏話がわかっちゃいました。



この一冊をよむと、著者が どんなふうに今までを過ごしてきて、何を思い、興味を持ち、何処へ旅をしてきたか

わかってしまいます。奥さんとの結婚から日常生活についてなんかもサービス~。


大崎氏のいろんなことがわかっちゃう、エッセイ集でした。