深夜特急 1〜6

沢木 耕太郎  著

新潮社

 

読むだけで心躍る、旅好きには外せない名作

 

旅好きの方なら絶対にハマってしまう旅行記。

もっと若い時に読んでいれば・・・という気もします。

読みながら持った感想は、学生時代に読んでいたらもっと旅したかもしれないな、というもの。

今までそれなりに旅行はしたつもりですが、細かな旅程を決めない(行き当たりばったりの)旅をしてみれば良かったです。

 

とは言え、ある程度の歳になってからでも読んでいてい心躍るのが本書のすごいところ。

 

沢木耕太郎さんの作品は『一号線を北上せよ』を読んでから好きになり、続いてこの『深夜特急』にたどり着きました。全6巻の大作ではあるものの、小気味よいタッチなのであっという間に読み終えてしまいます。少しでも興味のある方はだまされたと思ってぜひ1巻だけでも読んでみてほしいです。

 

 

 乗合いバスでデリーからロンドンを目指す旅、だが・・・

 

著者の旅の記録をまとめた本書、その旅の目的は「ユーラシア大陸を陸路で行く」というもの。地球の大きさを知覚してみたい、韓国ソウルを初めて降り立ったときに、いったいどれだけ歩けばパリに着くのだろう、という感慨を抱いたことなどがこの旅の発端になっていることが巻頭で触れられています。

 

6巻に分かれている本書、それらは

  1. 香港・マカオ
  2. マレー半島・シンガポール
  3. インド・ネパール
  4. シルクロード
  5. トルコ・ギリシャ・地中海
  6. 南ヨーロッパ・ロンドン
に分かれています。
 
はい、スタートがインドではありません。
東京でデリー行きの格安航空券を求めていた著者は旅行代理店の女性から二か所のストップオーバーができることを教えてもらい、「東京ー香港ーバンコクーデリー」のチケットに作り替えてもらいます。
香港にはせいぜい2、3日もあれば充分と思い訪れた当地は『一日として心が震えなかった日はなかったほど興奮しつづけ」る場所でした。
 

 

 

 香港の熱気、そして東南アジアからインドへ

 

著者が魅了された香港、私も学生時代、社会人になってすぐの頃は時間を見つけてよく行っていました。

街中にエネルギーが溢れていて行くと自分も充電される、いわゆるパワースポットのような場所だったのだと思います。それがなぜなのかを当時はうまく友人に説明することはできなかったのですが、本書で香港の魅力が見事に表されていて、当時の気持ちが甦るとともに、なるほど言語化するとこういうことだったのかと気づきました。

 

香港からマレー半島を南下した著者、各地で刺激的な経験をしつつも『香港の幻影ばかり追い求めていた』ことに気づき、いよいよ今回の旅の出発地点とも言えるインドへ向かいます。ただしデリーではなく、カルカッタからインド、ネパールを巡ります。

 

 

 ついにデリーを発ち、シルクロードを進む

 

日本を出てから半年以上、ようやくデリーの地に到着した著者。『デリーという町にはカルカッタに似た猥雑さや混乱がなくもなかったがどこかにインドの首都としての安心感があった。それが私を熱狂に導かない原因のあるよう』で、長距離バスでパキスタンを目指します。

 

パキスタンからアフガニスタン、イランを抜けてトルコへと旅はシルクロードに差しかかります。インドまでは行ったことがある場所もあって読みながら何となく著者が訪れている場所を頭に思い描きながら読み進めてきました。ただシルクロードには具体的なイメージがありません。その息を呑むような情景を想像しながら読み進めるのはめちゃくちゃ面白く、読んだ方は「いつか行ってみたい・・・」という感想をお持ちになると思います。

 

 

 旅の目的地、ロンドン中央郵便局

 

著者はついにこの旅の目的地であるロンドンの中央郵便局に着きます。なぜ中央郵便局なのか。それは出発前に日本で友人たちとデリーからロンドンまで乗合いバスで行けるか行けないか賭けをしていて、『ロンドンの中央郵便局から《ワレ成功セリ》って電報を打つから楽しみに待っていろよ』と言い残してきたからでした。

 

中央郵便局でこの旅最後の一悶着があって、個人的にはとても好きなエピソードなので、ぜひ本で読んでみて頂きたいです。

 

そしてついに、この旅のピリオドとなる電報が打たれます。

 

《ワレ到着セズ》

 

 

 どこから読んでも楽しめる

 

本書はどの巻から読んでも楽しめます。興味のある国、場所から読んでみるのも良いと思います。でもやはり1巻から、著者の旅に沿って読み進めるのが一番面白いのではないでしょうか。

特に若い人に手に取ってみてもらいたい本です。