読後感が良くて、でも考えさせられる小説が読みたくて
たどり着いた池井戸潤さんの「鉄の骨」。
最近の作品よりは「起承」の部分が若干長く感じたけど
期待を裏切らない本でした。
スカッとするし、涙が出るし、読んだ後にあれこれ考えさせられる。
これだからやっぱり池井戸さんの作品が好き。
題材は地下鉄工事の談合。
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鉄の骨 (講談社文庫)
957円
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「悪」を否定していたのに
「必要悪」というグレイな存在を受け入れざるを得なくなり
でも、そこに確かに存在する「葛藤のない悪」と「葛藤のある悪」に
心揺れながら、主人公が出す結論。
どんなに優秀でも太刀打ちできない大きな「力」。
どんなにもっともらしいことでも
受け入れちゃいけない「理由」。
人にも会社にもみんなそれぞれの立場がある。
苦しい状況や辛いことがあるのはみんな同じ。
そこに「レベルの違い」は果たしてあるのだろうか？？
「助け合い」という名前のもとに
誰かの至福を肥し、
格差が助長されていたりしないんだろうか？？
本当にすごく色々考えさせられました。
そして、最近開通した副都心線について考えを巡らせたり。
あの工事にも一体どれだけの人間ドラマがあったのか。
新聞で日々目にする記事が、急に色を帯びる。
一つの事象に、どれだけの人が関わり
どれだけのストーリーが動いているのだろう。
真実はきっと一つじゃない。
そんなことを考えさせられるだけでも
池井戸作品はすごいと思います。
主人公がなんだかんだいってめちゃくちゃ頭が良くて
正義感はもちろんのこと、芯の強さがしっかりあって
それでいて人間らしく揺れ動き
でも、ここぞというときには
誰が相手だろうと言いたいことをガツんという。
そんな風に、自分自身とはかけ離れていて
かっこよすぎる主人公が生み出す言動が
ザ・爽快！
重たすぎる本は読めないときが多いので
池井戸さんのような作品は癒しです。
池井戸さんの本はいくつも読んでいるつもりだったけど
まだまだ読んでない作品もたくさんあったので
これからも楽しみ！
こんなにたくさんの素晴らしい作品を生み出せるなんて
本当に本当に尊敬します。