初夏にその存在が立ち上がる。紫色の花の雲に「何の木だろう」と遠巻きに眺める通行人。
この花の紫は「楝(おうち)色」といい、実はこの木はかつてオウチノキと呼ばれていた。(町田市の大地沢の由来らしい)
「栴檀(白檀)は双葉より芳(かんば)し」のセンダンとは別ですよ、という定番解説があるが、白檀のセンダンを知らないのが一般的なので、そんなキツネにつままれたような気分がついてまわる余地のないオウチノキでよかった気がする。
細いリボンのような花弁が繊細で美しい。
周りに競う木はないので樹形は保たれたままこれから大木の領域に入っていくのだろう。ただ、地盤である構造体との折り合いは気になるところだ。
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▼現在地
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