コンコンコンっ。
ドアから連打のようなノックが響く。
控え室にいたキラとラクスは顔をあわせて小さく笑った。
「どうぞ。」
とラクスの言葉が終わる前に勢い良くドアが開き、
息を弾ませたカガリが飛び込んできた。
「キラっ!ラクスっ!」
ポポが部屋中を風のように旋回する。
カガリは2人の手をとると、かわるがわる見つめた。
弾んだ息がすっと落ち着き、ポポが肩の上に停まった。
「よかった。」
カガリの前にはいつものキラとラクスがいた。
陽だまりのような笑顔の奥に、強い光を湛えて。
「心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だよ。」
キラとラクスはカガリの直球の優しさに目を細めた。
「アスランからのお申し出もお受けいたしました。」
「ありがとう、キラ、ラクス。」
カガリは安堵の溜息を漏らすと、2人の手を離した。
「僕もメンデルへ行くよ。」
カガリは目を見開いてキラを見た。
「・・・っ。」
カガリは言葉を留めた。
キラとラクスは同じ瞳をしていた。
その先の真実を見据えるような眼差し。
過去の自分と重なる他者。
奇妙なえにしが、強く迫る。
その足音は、心を揺さぶり、震わす。
キラの繊細な心を。
だが、思いや痛みを共有しながらそれを支えあたためる存在がある。
手を伸ばさなくても。
――だから、キラは強いんだな。
カガリはキラの肩に手をのせ
「行って来いっ!」
と大きく頷いた。
あっと、カガリは頬に睫の影をのばした。
くっと視線を戻した目は優しさに潤む。
「アスランのこと・・・。
あいつ、何でもない顔してるけど本当は、すごく辛いと思うんだ。」
ラクスは不安げに眉をひそめた。
「どういうことでしょう?」
ラクスはキラへ視線を移したが、キラは顔を横に振った。
あの時のキラの状況から判断して、アスランはグレーのMSのパイロットの件には触れなかった。
キラの繊細さを考慮すれば、
ケイの存在をラクスと共にゆっくりと受け止める時間が必要だった。
カガリはアスランの思いを映したような表情で話した。
「グレーのMSのパイロット、アスランのお父さんと関係があるかもしれないんだ。」
キラの脳裏にあの時のアスランの表情が浮かぶ。
キラは入り混じった感情を胸に、視線を落とした。
だから、カガリは調子を変えて続けた。
「まだ決まった訳じゃないっ。何も無いならそれでいい。
キラもっ、アスランもっ。なっ?」
「そうですわね。」
ラクスの花のような笑顔が、祈りのように見えた。