術後3日目から流動食が始まった。
想像している味と、実際に食べた味の隔たりが大きくて、三分の一位で残してしまう。
この1ヶ月間まともに食事は取れてなかったし、味覚が変わってきても仕方無かろう。
術後4日目の朝食後、異変が起きる。
嘔吐が始まった
鼻から胃へ管を通して、胃の内容物を吸い出してみても歩行するたびに嘔吐してしまう。
麻痺性腸閉塞。イレウスだ。
透視室という、レントゲンで患部を見ながら処置する部屋でその作業は行われた。
その作業とは、長い長い管を鼻から入れ、腸閉塞の箇所まで管を通し、溜まった内容物を常時ポンプで吸出し、先端のバルーンや圧力で詰まった部分を徐々に通していくらしい。
言われるままに、鼻から入った管を飲み込む。
苦しい。
苦しい。
だけどまだ何とか大丈夫。
嘔吐と涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった時に比べれば大丈夫。
…
……まだ?まだ終わらない?
……長くねぇ?まだ?
いや!!痛い!
苦しい!
イタイ!
「麻酔は使えないのか?」と訪ねたら、口からの場合は使えないとの事。
本気で医師を殴りそうになるのを、ベッドの縁を叩いたり、握りしめたりして時が過ぎるのを耐えた。
最後は痛みに耐えられず、号泣すらした。
大人になって、痛みで泣くのは初めてだ。
迎えに来てくれた看護師さんに褒められ慰められ、
虚無の表情で病室に戻った
そういえば、私の前に透視室から出てきた人も虚無だった…
いつかの出張めし。