写経屋の覚書-なのは「今回はね、偶然から始まったネタを取り上げるんだよ」

写経屋の覚書-フェイト「偶然?」

写経屋の覚書-なのは「うん。以前に作者が史料複写に行った際、ふと思いついて総督府史料を追加複写したんだけど、後で獄長日記を読み返したときに「ああ、これの話ならちょうど複写したとこやんけ」って気づいたのが発端なの」

写経屋の覚書-はやて「それってほんまに偶然なん?」

写経屋の覚書-なのは「うん。ほんとに偶然なんだよ。じゃぁ参考エントリーの朝鮮総督府編『朝鮮の姓』よりから、『韓国社会略説』(韓国駐箚憲兵隊司令部)の引用部分をあげるね」

収養子
収養子は、同姓異姓に拘わらず棄子其の他特別関係あるものの子を収養せるものにして、
財産を分与し、又は分与せざることあり。
今、長男の子なくして次男に子ある場合、之を長男に捧げ次男は他より養子すれども、若し次男亦養子すること能はざる場合は、長男の養子たるもの1人にして養家・実家両方の家督相続を兼ぬるものとす。
之を生養家奉祀孫と称す。
長男にして死亡せるとき次男其の家督を相続することなく、長男の子之に代り、祭典にも上位に列す。
財産も相続人として分配せらる。
一旦養子を迎へし後、男子出生するか或は養子にして性不良相続人たるの価値なきを認むれば、協議の上罷養することあり。
今、左に一般の親戚を表示すべし。

正しいかどうかは、他に頼る史料が無いので不明。
つらい。(笑)

『朝鮮の姓』に書かれている収養子は、冒頭の「棄子」をメインとした養子の事でしょうね。
そうでなければ、異姓不養の原則が全く意味ないですし。
つうか、若干ではあっても異姓養子を受け入れる事の出来る要素ってのがあったんですねぇ・・・。
まぁ、そうでなければ両親等を亡くした子供とか、現実問題として困るんでしょうけど。

ということで、恐らくは「棄子」を始めとした養子の姓を養家の姓にした結果として同本同姓となっても、これを男系血族とは視ない慣習がある、と。


写経屋の覚書-フェイト「『収養子』?養子の一種なのかな?」

写経屋の覚書-なのは「うん。養子の種類の一つなんだよ」

写経屋の覚書-はやて「種類の一つ?養子にもいろいろあるっちゅうことなん?」

写経屋の覚書-なのは「うん。そのへんはあとで説明することになるんだけどね」

写経屋の覚書-はやて「赤字部分、収養子への財産分与については規定とか慣習はなくケースバイケースってことなんやな?」

写経屋の覚書-フェイト「青字部分、次男の子を宗族の嫡子として長男の家に養子として出した結果、次男の家の跡継ぎがいなくなれば、他から養子をとるってことね。養子の玉突き現象だね」

写経屋の覚書-はやて「せやけど、他に頼る史料がないから言うて獄長も自信なさそうやね」

写経屋の覚書-なのは「そうなの。で、作者が偶然複写していた史料がその頼る史料になりそうなんだよ。きりがいいので今回はここまでにして、次回からその史料を見ていくね」