桑の実(くわのみ)

 

 

「桑の実(くわのみ)」は、木苺に似た集合果です。

 

7~8月に実が熟すと、赤色から紫黒色に変わります。

 

柔らかく甘酸っぱい、とてもジューシーな果実で、

 

その味覚は格別です。

 

別名「桑苺(くわいちご)」「どどめ」「マイベリー」とも呼ばれます。

 

生のままで食べるほか、ジャムや桑酒にも加工されます。

 

かつて、シルク産業が盛んだった日本の農村地帯では、

 

養蚕農家が多く、桑の葉は重要な作物でした。

 

詩人、三木露風の童謡『赤とんぼ』の歌詞には、

 

桑の実を摘んだ幼い日の記憶が故郷の原風景となっています。

 

桑の実摘んで指先で、食べたあと口に中が実の色で

 

染まった経験がある世代にとっては、

 

郷愁を呼ぶ果実として叙情ある季語でしょう。

 

 

 

 

 

桑の実を食べたる舌を見せにけり       綾部仁善