潮州へ、お茶を尋ねる旅。
移動日でもあった1日目はまだまだ終わりません。少し観光地と潮州名産の木彫りやレース、刺繍を見て回ったあとに出会ったのは潮州手拉壶のお店でした。

中国茶に欠かすことのできないのは、「紫砂壶」(ズシャフ)と呼ばれる宜兴で作られる小ぶりのティーポット。

泥の違いや目の粗さの違いで変わる色や肌の質感、完全に手作りであるからこそ出る作家さんの特徴などなど、見所は盛りだくさんなのですが・・・

私が感じる紫砂壶の一番の特徴は「価値がある」というところ。

作家さん一族のレベルや原料の希少さ、制作難易度によって値段が変わり、作家さんたちも級が振り分けられているので昇進すると値段が上がり、中国では「投資用」として紫砂壶をコレクションする方々も数多くいらっしゃいます。

私は自分で丁寧に育てた紫砂壶は手放したくないタイプです。

この紫砂壶、釉薬が使われていない為に淹れたお茶の香りを吸収してしまいます。なので1種類のお茶に一つの紫砂壶を割り当てるのが理想的。

普洱茶用、紅茶用、白茶用・・・と愛飲するお茶が増えるとその分紫砂壶も増える・・・。もちろん单丛(単叢の簡体字)用に可愛い子を育てていたのですが・・・

ここで中国茶あるある「お茶は同じ産地の茶器で淹れるのが一番美味しい」が立ちはだかるのです。

よく言われるのは、台湾茶は台湾の陶器の茶器で淹れるのがベストということ。

潮州もお茶を作ると同時に陶芸の町として有名。しかも潮州工夫茶に必須の「四宝」と称されるお道具も「潮州産のものを使うべし!絶対!」という勢いを感じるくらい。

潮州の茶壶は潮州産の朱泥を使用し、潮州で作られるろくろで手捻りの「手拉壶」(ショウラフ)。

宜兴の紫砂壶とは原料の産地も作り方も全く違う!なので全くの別物です。ぱっと見似ていますが持つと分かる。紫砂壶は収蔵価値が高いけれど、手拉壶は残念ながら収蔵価値はありませんのでガンガン使う用にできて、コレクションや投資やら考えなくていいお手頃茶壶だと言えます。

そして何より・・・小ぶりで可愛い。
私の紫砂壶はいつも6人くらいでお茶を飲むことが多いので大きいものばかり。
小さいのも・・・かわいいー!

单丛を淹れる為の潮州手拉壶が欲しい!と前々から思っていたので、産地に来れたのは絶好のチャンス!

今回の旅で3つの手拉壶をお迎えしました。
ぱぱーん。かわいい。
右はお茶館で買ったもの、老茶用。
真ん中は手拉壶屋さんで買ったもの、浓香型用。
左も手拉壶屋さんで買ったもの、こちらは主人のオフィス用。この柄は手拉壶の作り方でしか出せないもの。
この写真はフィルター無し。

手拉壶屋さんで感動したのがこの育ち方!
店主のおじさん曰く3ヶ月毎日淹れるとこうなるそうです。
手拉壶屋さんなのでお茶を淹れる頻度が私とは比べ物にならないほど多いとは思いますが、育てるとこんなに艶が出るなんて・・・と感動してしまい、おじさんとお揃いの西施(中国4大美人の1人の名前を冠した形)の手拉壶を買ってしまいました。

お茶農家さん曰く、单丛を美味しく淹れるには蓋碗が一番!とのことでしたが、潮州四宝をコンプリートしたかったし何よりお茶館で見た、蓋碗で淹れつつ手拉壶に茶湯をかけて育てるのがやりたかったのです。

こうやって少し旅に出るだけで、インスピレーションの波に飲まれてもう楽しくてしょうがない!

潮州の旅ではこれは素敵!自分のお茶席に取り入れたい!と思うものばかりに出会いました。出不精ですが、こうやって外に出るのも本当に大切だということを染みるように感じ、まるでドラッグのように、また行きたい。お茶館に行きたい。とインスピレーションを欲する自分に驚いています。


via 中国茶藝館カメリア
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