先日、文通(笑)しているアフリカ大陸北部に在住のクラスメイト(日本人)との話で、私がシュナウベルト博士の講座で聞いたばかりのヒソップの使い方を「口唇ヘルペスに、ヒソップを塗ってみた。」という話に、枕詞のように「怒らないで欲しいんだけど原液をちょちょっと塗るやり方」という話になりまして、私はこの「怒らないで欲しいんだけど」という定形文に苦笑しました。

 

この話、ポイントが3つ4つあるのですが。

 

あ、まず軽く前菜のポイント(笑)

海外との時差の関係で文通になるつもりで、メッセージを送るのですが、よっぽどご縁があるらしく、お互いに自営業の合間をぬっているにも関わらず、時間がピッタリとあって、ほとんどの場合がチャットになります。

あるいは、1日2便、仕事前と仕事後みたいな絶妙にいいタイミングで、情報交換が行われます。

彼女は、最近、アロマテラピーを学習し始めた。とのことですが、使っている精油に関して言えば、土地柄もあって、いわゆるプロバンス式なもの、でも基礎的な所を勉強してはいなくて、本を読んでかいつまんで使っている。と言う話だった。私は基礎的なところで質問に応えて、彼女は実践臨床的なところと、フランスの市場について教えてくれる。

「いつもたくさん教えてくれてありがとう。」と言われるが、いやいや、私も同じ言葉を返します!と思っているので、多分、お互いに素朴な疑問を聞いているのだが、情報を搾取されていると言う感じではなく、win-win situations であってくれているのではないかと思う。

 

さてさて、メインディッシュは、ヒソップの話です。

実は、IFAの養成校に通っていた15年前、ヒソップのデータは少なかったです。

うちの講師陣の知識が不足だっただけかもしれませんが、ヒソップはケトン類が多く、神経毒性が懸念されるので、使用に注意があり、主にてんかん発作を起こす人、妊産婦、新生児、乳児、小児、高齢者は禁忌。くらいの情報でした。

 

だから、精油をキャラクター化して友達になるように覚えていった私にとって、ちょっとヤンキーで怖い人だけど、クラスの端っこにいて、こっちがアプローチしなければ、絡んでくるわけでもないので、そっとしておこう。怒らせるとヤバい。でも、なんか事情を抱えていそうな子なんだよなぁ。と言うキャラでした。

いまでも、その印象は強いのですが。

 

今年、シュナウベルト博士の講座を受講して、博士の著書『精油のヒーリングインテリジェンス』で、情報が過多すぎて隅々まで、頭を整理しながら読むのが厄介な本だと思っているのですが、思わぬ重要な事が本文ではなく、小窓に書かれていたり、コラムになって散らばっていたり、体系化するのにちょっと苦労していて、疲れて辞めちゃう(笑)本の、どう読み解いていけばいいのかが、少し理解できるようになる講座だったかな?と言う感じで、行間のニュアンスをつかめたかも?と、思っているのですが、サラッと書かれてるやり方、コレって原液塗布だよね?と、思う処方も多く、プロバンスの伝統的な自然療法としての使い方をもっと勉強したいな。と、思わせてくれるものでした。

 

この講座でも、クラスメイトの彼女は、私がシュナウベルト博士に質問するような化学や生理学的なところは、むしろ分からない。と言う感じに話されるのですが、博士の提案する処方は、軽々と実践されるのです(笑)

 

いや、すごいなぁ。と、やっぱり思います。

そうは言っても、自分の体で人体実験するには、確固たる知識が欲しい私には、その一足飛びにできる勇気(?)はないので、えー。もう、早速、実践してみたの?と、衝撃を受けます(笑)

 

まぁ、日本の精油の市場と違って、ちゃんと「ヒソップ・デキュンベンス」と確定しているものを買えると言う点でも、彼女に実践の機会を与えてくれているのでしょうけれども。

 

ヒソップにも、ケモタイプが存在しています。

私がIFA養成校で学習していた、あの、クラスの端に座っている憂のあるヤンキーだと思っていたヒソップは、実は、ケモタイプが知られていたかどうか定かではありません。

指導員の知識によるのか、時代的な情報不足かは分かりません。

 

でも、今は、あのヒソップは、双子で、デキュンベンスは、幼稚園教諭の道に進んだ明るく優しいキャラで、幼児から呼吸器感染症を中心に感染症から守ってくれるキャラで、私が昔から知っているヒソップは、本名が、ピノカンフォンと言うケモタイプで、こちらは当時のままのキャラです。

ケトン類が豊富なことは、去痰、抗カタルなど、粘液溶解と排出に優れているのですが、神経にも強く働きかけ、使い方によっては神経毒性となるリスクを持っている為、使用には注意が必要になります。

でもプロバンスで、伝統的に使われているヒソップはデキュンベンスなので、こちらにはケトン類がほとんど含まれておらず、少ないケトン類が、穏やかな去痰、抗カタル作用を発揮、神経鎮痛作用となって現れます。

 

ヒソップとしての学名は同じ。ケモタイプ(構成成分が異なる)は、なぜ起こるのか?は、植物の生存競争的なものが理由で、謎も多いそうですが、そこは「ヒーリングインテリジェンス」で良いのではないか?と言うのが、バリバリ化学者のシュナウベルト博士の考え方だと思います。

エビデンスと魔法にきっちりと境界をつけなくてもいいかな?人間は神ではないので、人間に科学的な理解が100%できるわけじゃない。と、思っている私とは、相性がいい先生です。(笑)

 

私も、間違いのない精油が入手できたら臨床を実践してみたいですが、いくつか作用的に並べられた精油の中から、ヘルペスにあえて、ヒソップを選ぶかと言われれば、選びません。

なぜなら、単純ヘルペスウイルスは、呼吸器感染ではなく、外皮と中枢神経に感染、潜伏するので、多分、外皮、中枢神経系に働きかけるティートリーの方が選択する優先順位が高いかな?と、思います。

 

プロバンスの伝統には存在しない、オーストラリアのアポリジ二の伝統に基づくティートリー。

国際アロマセラピストである私が、各国の伝統に目を向け、偏らない知識を持って、クライアントに最も良い精油を選ぶなら、選択順位はティートリーが先になると思う。

だが、あいにく、精油と付き合うようになってから、およそ病気をしないので、自分人体実験はなかなか行われない。

臨床実践してくれて、結果を教えてくれる友人はありがたい。