小5息子の歴史教科書、日本統治時代の記述が気になっている。目次を見ると、清朝末期も中華民国も10ページほどしか割かれていないのに、日本統治時代は20ページ。台湾の歴史の中で(そして現代社会に深く関わるという意味で)、どれだけこの時代が重視されているかがわかる。

 
こちらは単元のフロントページ。
 
ページを開くと、さっそく抗日の歴史だ。そう言えば「自国や民族が他者から侵略された時、それが後にどんな評価を得ようとも、当時の人々が無条件でそれを受け入れたわけではないという事実は、民族の誇りとして重要なことだ」というようなことが、ある歴史学者の台湾史の本に書いてあった。当然、台湾だって勇敢に戦ったのだ、と小学生たちは学んでいる。
 
 
 
こちらは抗日が落ち着き、日本の統治が進んだころの記述。重要物資の専売制度により日本に豊富な収入が入ったと書かれている。この授業を受けた息子の落書きが、本質を捉えていてなかなか深い。
 
統治時代に台湾のインフラや社会制度が整えられた、といった記述ももちろんある。  
 
そして、時代は戦争へ。
 
 
無知でお恥ずかしいけど、皇民化運動というのは日本植民地時代の最後の10年ほどだそうだ。写真右下に討論課題として「なぜ日本は台湾を統治して40年も経ってから、皇民化運動を始めたのか」とある。もちろん鍵は太平洋戦争だろう。台湾の小学生は、授業でこういうことを考えさせられるんだなぁ。教科書に落書きがないから、息子のクラスはまだこれからなんだろう。どんな話し合いをしたのか、後日また聞いてみよう。
 
教科書をめくりながら、「なるほどね。こうやって台湾の産業から日本がお金をふんだくってたわけね」と私が言うと、ゲームをしていた息子が顔も上げずに、 
 
「日本悪いよ。」
 
と言った。
 
それは非難とも自虐とも違う、ただ冷静に事実を述べているような声だった。それについて友達に何か言われたりするかと聞いてみたけど、そういう子はいないと言う。
 
「今は日本が(台湾に)いろいろ(して)くれるってみんな知ってるからね。」
 
と息子。
 
台湾の多くの人が日本に親しみを抱いてくれている今、日本人として、仲良くしてくれる台湾の人たちがこういう歴史授業を受けてきたことを、ちゃんと心に留めておこう、と改めて思った。