理財商品の償還満期が来る
そもそも「7月危機説」とはどういったものなのでしょうか。
「中国で6月下旬に総額1兆5千億元(約24兆円)の財テク商品が償還満期を迎えるとの試算」があり、「資金不足で一部銀行による償還が困難になる恐れがある」ということです。
『財テク商品は「理財商品」と呼ばれ』ていて「高金利だが元本割れなどの高いリスクを伴う商品で、銀行や信託会社が販売」しています。
こうして『集めた資金の多くは、問題化している「影の銀行」の資金となり、正規に銀行融資を受けられない不動産企業などへの迂回融資などに利用され』ていて、今回の短期金利上昇とそれに伴う株価下落と大きく関わっています。
「中国の投資家に浸透する財テク商品が焦げ付けば信用不安が広がりかね」ない状況だということです。
バブル抑制に動いた
さて、今回の短期金利の乱高下は、こうした「理財商品(財テク商品)」を一気に処理してしまうために「資金供給」を絞ったために起きたのだと思われます。
通貨供給量を増やしても『「理財商品」と呼ばれる高利回りの金融商品が市中の資金を吸い寄せ、集まった資金が不動産開発に投じられてい」て「金融と不動産ばかりが膨張し、景気回復の助けになっていない」実状があります。
「理財商品は、上半期が終わる6月末に大量に満期を迎える。そのため償還資金の調達需要が増していたが、人民銀は今回、金利抑制に動か」ず、「理財商品に走る銀行に、おきゅうをすえた」ということです。
「サブプライムローン」と同じ構図
そもそも地方政府の公共事業たる不動産開発への資金融資が焦げ付いている状況の中、こうした投機的金融商品に資金が集まることで、さらに莫大な不良債権を抱えているのではないのかという不安があるわけです。
「中国経済、大混乱! 飛び交う“銀行デフォルト連鎖”の噂 」
ここで書かれているように『米著名投資家のジョージ・ソロス氏が、2008年のリーマン・ショックの引き金となった「サブプライム・ローン問題と似ている」と警鐘を鳴ら』していて、この構図は「サブプライムローン」と同じわけです。
バブル抑制に動いたものの「実態」がわからず後退
ここ数年の経済の流れと今回の金利乱高下との関係はこのコラムが解説してくれます。
「【コラム】中国当局の手に負えないモンスター経済-ペセック 」
「中国の指導者は2008年(リーマンショック時)に次のバブルを作り出すことでバブル破裂を防いだ」と。
その後危機を乗り切り、2桁成長を続けた中国だが、「中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が先週、過剰流動性の引き揚げを始めようとした際、市場関係者は中国のポール・ボルカー(元米連邦準備制度理事会=FRB=議長)が現れたと歓迎した」そうです。
なぜなら「最悪期が過ぎた今は与信を抑制し、信用バブルが膨らむのを防ぐべきときだと周総裁が意思表示したと受け取った」からです。
バブル崩壊を防ぐためにバブルで乗り切ったというのは「先送り」に過ぎず、今回の「金融引き締め」は、いよいよバブル抑制に向かうのかと、みな期待したわけです。
しかし、結果は「現実が立ちふさがった。銀行間市場の翌日物レポ金利が過去最高の13.91%に跳ね上がり、周総裁は退却を余儀なくされ、混乱を防ぐため流動性を供給しなければなら」ず、失敗したことを示しています。
そして「銀行に打撃を与えずに周総裁がマネーを引き揚げることは、今や不可能だ」と言います。
金融の健康状態・規模が誰にもわからない
それは「中国国有の巨大銀行の真の健康状態やシャドーバンキングシステムの本当の規模が誰にも分かっていない」からで、中国の信用システムは「巨大なブラックボックスであり、非常に恐ろしい」と形容し、「それは誇張ではな」いということです。
結局、「影の銀行」への資金流入を含め、金融引き締めによって「バブル抑制」の方向へ向かったものの、市場のあまりの反応におののき、やはり「先送り」してしまったということでしょうか。
そこには中国の「銀行の真の健康状態やシャドーバンキングシステムの本当の規模が誰にも分かっていない」という状況があるのでしょう。
実態がわからなければ誰にも手を打つことはできないでしょう。
結果「先送り」。そのツケは?
まだ7月に入っていないので実際はわかりませんが、私は今回の「バブル抑制」を狙った「金融引き締め」「金融改革」は出来なかったのではないかと思っています。
結局、今回の危機も「資金を供給」することで、乗り切ってしまうのではないかと。
つまり「バブル抑制」にはならないのではないかと思っています。
しかし、これはあくまで「先送り」でしかなく、ツケは「後回し」されただけで、却って「貧富の格差」が拡大していくのではないかと思っています。
さて、こうしたツケが先送りされている状況の中国経済に、まだ魅力があると癒える日本企業はあるのでしょうか。
「経済崩壊」はあるのか
さて、中国の経済について語られるとき、「バブル崩壊」や「経済崩壊」という言葉がよく言われます。
しかし、私は「バブルがはじける」や「経済が崩壊する」という意見には懐疑的です。
なぜなら「バブル崩壊」について言えば、中国の株式市場のチャートを見てもらえればわかるように2008年にすでに崩壊しています。
しかし、上記のベセック氏のコラムにあるように2008年の「バブル崩壊」は、他のバブルを生み出すことによって乗り切っているのです。
今回も「バブルを崩壊」させることなく「先送り」で乗り切ってしまいそうです。
それならまだバブルはまだあるのではないかと思われるかもしれませんが、ここ数年のバブルのツケは、すべて「貧富の格差拡大」として表れています。
中国は人口が多いので、こうした「ツケ」は全て貧富の格差を拡大することによって吸収できるのではないかと思っています。
ソロス氏が言うように、「サブプラムローン」と構図が似ており、「不良債権」は「理財商品」として、どんどん上から下へ「ツケ」を回し続けていくのではないでしょうか。
「民主国家」で無い以上、ツケを回された庶民を切り捨てれば解決されます。
結果、「バブル崩壊」といった現象は見られないまま時は過ぎていくように思います。
もちろん、「貧富の格差」は拡大し、庶民は苦しい状態に追い込まれるでしょう。
こうした状況が「経済崩壊」状態だと言われればそうかもしれません。
しかし、そうした状態の下で、中国は中国であり続けるのではないかと私は思っています。
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