春が来るごとに、なおちゃんは忙しくなってくる。
勉強に、習い事に、友達との遊びに。
段々と 僕とユチョンと遊ぶ時間は減って行った。
僕は 寂しい気持ちで それを受け入れる。
大好きな なおちゃんと過ごす時間が減るのは 悲しい。
けど、、、それは しょうがないことなんだろう。
なおちゃんが笑顔を見せてくれるだけでも、僕は嬉しかった。
いつだったかな。
窓の外を一緒に眺めてた時に、なおちゃんが言った。
「ねぇ、ジュンス。ジュンスも外に行きたい?」
「そうだなぁ~・・・イロイロ見てみたい気もする。
なおちゃんが見せてくれる本の場所にも行ってみたりしたいなぁ」
僕が何気なくそう言うと、なおちゃんは突然泣き出した。
「なおちゃん?どうしたの?」
「ヤダ・・・ジュンス、どっか行っちゃヤダ・・・・」
僕の体をギュッと抱きしめて、『 行かないで 』 と泣く なおちゃん。
僕は なおちゃんを泣かせた罪悪感でいっぱいになる。
「行かないよ!なおちゃんのそばに一緒にいるから」
なおちゃんの顔を覗き込んで、どこにも行かないと約束をした。
ポロポロとこぼれる涙を手で受け止めながら、僕は 幸せを感じたんだ。
なおちゃんに必要にされて。
「うん、なおは、ジュンスが大好きだから・・」
なおちゃんの仲良しの友達が引っ越しした時だった。
そして、約束をした日から、数日経って
「ジュンス、なおは ジュンスが大好きだから、ずっとそばにいて欲しいって思うけど、
もし ジュンスが外に行きたくなったら行ってもいいよ」
そんな事を言われた。
寂しげな顔で言われた。
「でも、なおが 『いいよ』 って言ったらだよ?なおが いいよって言うまでダメだよ?」
僕のなおちゃんは 素直で優しくて可愛い。
なおちゃんに必要とされて、僕が行きたいとこなんて他にどこにあるんだろ。
今日は外は雨が降ってる。
窓の外の雨音を聞きながら、ユチョンと二人で過ごす。
まだユチョンは 動かないし、話もできないけど、
僕は ユチョンがいてくれるから寂しくない。
手を繋いで一緒に眠って、
本を広げて一緒に見て、
ユチョンに歌を聞いてもらって、
僕はたくさんの話をユチョンにする。
「ユチョン、キミが一緒にいてくれるから、僕は寂しくないよ。
でもね、キミの声が聞けたら、僕はとても喜ぶよ」
ユチョンが動かないのをいいことに、僕はユチョンのホッペにキスをした。
寂しくないと言いながら、僕はやっぱり寂しかった。
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「ユチョン・・・今日は雨が降ってるんだよ・・・・」
