ミッキーが寝ていた場所には もう僕の温もりしかない。
消えてしまった。
ウサギの姿も残さず、まるで最初から存在しなかったように、消えてしまった。
シーツは僕の涙で濡れて、冷たく僕の体温を奪う。
それでも、涙は溢れて流れていく。
「みっきぃ・・・」
声に出して呼んでみても、返事をくれる相手は もういない。
この世のどこにも・・いない。
もう二度と・・・会うことは叶わないんだ。
「ぅ、、、ぁっ、、、、、ミッキーっ・・・・・っ・・・」
どれだけ人は涙を流すことができるんだろう。
体の水分が全部涙となって出ていくように感じる。
ペットとの別れを、こんなにまで悲しむのは おかしいだろうか。
でも、僕にとっては ミッキーはペットじゃなかった。
家族で、、、恋人だった。
泣き疲れて ウトウトと眠りに落ち、
目覚めて ミッキーを想って泣く。
どれくらい時間がたったのか、わからない。
僕は何度目かの眠りから起こされた。
「ジュンス?・・・ジュンス・・・・・」
僕は目を閉じたまま、夢だと思った。
夢を見ているのだと。
夢なら覚めないで。
もっと ミッキーの声を聞いていたいんだ。
甘く低く僕の名前を呼ぶ愛しい声。
ミッキー・・・会いたい。
新しい涙が目じりから 流れて、シーツを濡らしていく。
そこに 人の温もりを感じた。
誰かが涙を拭ってくれる。
優しく 優しく 頬を撫で、涙を受け止めてくれる。
僕は ゆっくりと重い瞼を開けた。
「・・・・みっ、、きぃ・・・・・?」
僕を見下ろす 僕の大好きな顔。
「みっ・・・・・き・・・ミッキーーっ」
大きな瞳から涙をポロポロこぼしながら 僕に笑いかける顔。
もう、会えないと。
顔を見ることも、声を聞くことも、触れることもできないと思っていた
僕の愛しい ミッキーがそこにいた。
「ジュンス・・・泣かないで・・・」
「みっきぃ・・っ、、、ぅ・・っ・・・」
あれだけ泣いたのに僕の目からは、また新しい涙が出てくる。
ホンモノ?
夢じゃない?
触れても 消えない?
震える手をミッキーに差し出すと、ギュッと握られた。
夢・・じゃない。
僕は身を起して、ミッキーを抱き寄せた。
温かい。
ミッキーの匂い、ミッキーの感触。
僕たちは 二人で抱き合って、
ギュウギュウに抱き合って、お互いの存在を確認した。
もう、どこにも行くな。
そう念じながら ミッキーの体を抱きしめた。
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「ジュンス、、、もう泣かないで。」
