三日月。 | チョンサXIA ブログ

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JYJ大好きだよ。
いつかのその日まで。
ゆせりく どハマり中。

 
「ここは・・・どこ?」

私は 今 見知らぬ場所へ立っている。
空気が動かない・・・風が吹いていないのだ。
シーンと静まりかえっている・・・音がないのだ。
そして、色もないモノクロの世界。

まるで 時が歩みを止めたような世界。

私は 不安になって 自分を自分で抱きしめた。
その時、足元の 自分の影が動いた。
光に照らされて 影ができているらしかった。

振り返っると、そこに青年がいた。


 



三日月をバックに、目を閉じて ただ そこにたたずんでいた。
彼からは 生気というものが全く感じられず、
よくできたマネキンが立っているかのようだった。

野原に 三日月に マネキンのような青年。
そのミスマッチさが 幻想的で美しく 目が離せなかった。

風など吹いてないのに まるで 風を感じてるかのような 表情。
そもそも 彼は人間だろうか・・・

私が彼から目を離せず、どれだけ時間がたっただろう。
そもそも この世界に時間というものが存在するのだろうか。


吸い込まれるように 見とれていたら
彼が ゆっくり目を開き、私を見た。


 


いつの間に 月は移動したのか、
彼が動いた瞬間に 草木も伸びて 小さな花をつけていた。


静かにたたずんでいた彼と、今こっちを見ている彼。
同じ人物のはずなのに まるで別人のようで、
目が合った瞬簡に 魂を抜き取られるかと思った。

顔は同じなのに、雰囲気が全く違う。
白と黒。
天使と悪魔。
コインを裏返したように 一瞬で 姿を変えた。


「あなたは 誰?」

恐る恐る 聞いてみる。

「オレ?オレは・・・死神。」

その声は ハスキーで少し掠れていて、ゾワリと耳から体の中を撫でた。
『死神・・・』 心の中で彼が口にした言葉を繰り返す。
その言葉は 恐ろしいのに 彼の声は どこか甘美で引き寄せられる。

怖いのに甘い。
逃げ出したいのに動けない。

心臓の音だけが やけに大きく音をたてていた。



「おいで。」

 



静かに ゆっくり 彼がささやく。

「い・・いや。」

怖い。
やっとのことで 搾り出した声は震えていた。


「何も、何も怖くないよ。
 ただ君は 夢を見るだけだ。」

 


彼は どんどん表情をかえていく。
美しく 妖艶に 優しく 強引に。


私は、呼吸をするのもやっとなくらい、胸が苦しくて張り裂けそうで立っていられない。


足音も立てず、ゆっくりと近寄ってくる彼。
まるで ネコ科の動物が獲物の狙いを定めて 歩いているような・・・

怖いのに、目が離せない。
逃げ出したいのに、その奥から漂う甘い蜜の香りが私を狂わせる。


「欲しいんでしょ?」

立っていられず座り込んで ハァハァと肩で大きな息をしている私を見下ろしながら、


「あげるよ。朽ち果てるまで オレに落ちればいいよ。」


首を少し傾け、口の端で フフっと笑った。
そして、私のアゴをグイっと上げ、生気を吸い取るかのような キスをした。


彼の唇が触れた瞬間に こわばった体が溶ける。
甘い吐息と香りに包まれ、
無意識に抵抗していた私の腕が ダランと力を失う。

私は 一筋の涙を流し 死神と言った彼の腕の中で 意識を失った。



「だから言っただろ?オレは死神だって。
 これから ずっと オレの夢の中で オレのことだけ考えていけばいいんだよ。」









私は 夢を見る。
彼のことだけを考え、彼の声だけを聞き、彼だけに笑いかける。






私は 彼に魅入られたのだから。







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まさかの ユスデート ネタをいじらず放置(笑)