ふと、思い出してた。
ユチョンと出会った頃。
僕には 両親がいて ジュノがいて 毎日楽しくて、
歌やダンスのレッスン、サッカー。
やりたいと思うことは 一通りやらせてもらえた。
マナーや礼儀に対しては とても厳しかったけれど、
僕は 恵まれた環境で育ったんだと思う。
それが普通だと思ってた。
でも、僕はそれに気づいてなかったんだ。
ユチョンに出会うまでは。
アメリカから来たというメンバーは、僕と同じ韓国人で同じ年だった。
長い睫に つるっとしたキレイで優しい顔をした ユチョン。
僕も緊張していたけれど、
目に見えて 緊張と不安がユチョンから伝わってくるようだった。
同じ家に住むようになって、だんだんとメンバーのことがわかってきたけれど、
ユチョンは自分のことを 特にアメリカでのことを話したがらなくて、
うまく僕の質問をすり抜ける。
そんな時は 決まって 寂しそうな悲しい顔で笑った。
だから 僕はそれ以上聞けなくて、そんな顔をさせてしまった自分に後悔した。
何ヶ月か経って、事務所の先輩から ユチョンの家族の話を少しだけ聞いた。
聞いたからといって、僕がユチョンにしてあげられるようなことはなく、
逆に 聞かなければよかったと思った。
「ユチョナ 楽しい?」
「ん?楽しいよ?」
気のせいかな。
あんな話を聞いたせいかな。
僕の目には 無理して笑顔を作ってるように見えたんだ。
ユチョン。
君は 難しい。
知れば知るほど つかめなくて・・・難しい。
三日月みたいな目をして コロコロと笑い転げているかと思うと、
ふとした瞬間に 物語の終わりをみているような 暗く悲しい目をする。
「ユチョナ・・寒いの?」
「ん?あぁ?いや。何でもないけど・・・ジュンスこそどしたの?」
「ん・・・別に・・・お腹すいた。」
「そ?変なジュンス。あっ 変なのはいつもかww 」
「!変とはなんだよー!うははははww」
ユチョンが 自分で自分を抱きしめるように小さくなってたから、
僕は 声をかけずにいられなかったんだ。
まぁ いつものように 僕の質問からは スルリと逃げていったけど。
ユチョン いつか 君の話を僕は聞けるかな。
こんな僕じゃ 頼りなくて 話せないかな。
そして、どうして こんなに君の事が気になるのかな。
子供の僕には 自分の気持ちも ユチョンの気持ちも・・・・わからなかった。
