土佐堀川
NHKの朝ドラ“あさが来た”の原案本『土佐堀川』
脚色されているドラマはドラマとして楽しみ
実在の人物ならば
少しでもその本当に近づきたい~
『大日本女性人名辞書』の二段組紙面で
わずか一四行の記載しかなかったという“広岡浅子”
興味を惹かれた作者の古川智恵子さんは
そこから三井文庫に通い
加島屋本家の子孫や浅子の孫の生存を知り
写真に触れたり聞き書きもし
この小説を完成させていきました
出版後(1988年10月初版第一刷)、小説はラジオドラマ化
そして舞台化され
今回のNHKの朝のドラマ化となって
広岡浅子はさらに多くの人に知られるようになりました
“颯爽”という言葉が相応しい
青空を見上げて胸いっぱいに
薫風を吸い込んだような女性の一生です~
女性が生きづらかった時代にあって
“九転び十起き”の精神で
前へ前へと歩いて行く様は
浅子の不屈の精神と共に
夫、義父等、周囲の理解者の存在がありました
小説はドラマの後半部分(現在放送部分)を中心に
浅子は村岡花子や市川房枝とも関わっていきます~
文庫版の解説は作家宮本輝さん
最後の言葉は深く頷かされます
今、『小説 土佐堀川』があらためて世に躍り出たのは、
たかだか数十年かでいやに姑息になり、
こぢんまりとしてしまって、勇気や気迫や
向上しようという意欲を失くしたこの国と民衆に、
生きるとはなにか、命の力とは何かについて
考える時間を取り戻させるための、
天のはからいではないかと私は思っている