海にかかる霧
これは韓国のポスターです
sechunと観に行って来ました~
実話にヒントを得て作られた作品です
海霧が立ち込めてからのシーンは
まるでモノクロのようで
苛立ち、欲望、暴力、不安、共感、正義
あらゆる感情が渦巻きながら
狂気からは程遠い暮らしをしていた船員達を
否応なく飲み込み
心が蝕まれていく過程を
丁寧に描いていきます
船上で繰り広げられる
偶然がもたらした惨劇
割り切れない想いは
観終わった後も
錘のように、澱のように
心に沈んでいるようです
ユチョンが韓国映画界の新人賞を
総なめにしたのが頷ける演技で
無垢な魂を伸びやかに演じています
ユチョン演じるドンシクが
心を寄せるホンメ役のハン・イェリさん
凄い美人でもというわけではないけれど
印象的な女優さんです
ラスト
ホンメがひとり去っていくのも
惨劇を共有した人が一生傍にいるのも
たとえ愛しているとしても
辛いに違いないことだと理解できるし
足跡を追わなかったドンシクの想いもまた
彼の純粋な心ならそうしただろうと
納得がいくものでした
このまま終わりと思ったら
6年後の再会
ホンメはドンシクから教えてもらった
青唐辛子を忘れておらず
(それこそが彼女の想いそのもの)
一緒にいた女の子は
ひとり育てているドンシクとの子供なのか
夫がいるのか1人で暮らしているのか
最後に彼女は振り返って
ドンシクを認識するのか
多くを語らないまま
映画はフェードアウトしていきます
メロドラマに終わらせない
ポン・ジュノ監督の力量だと思いました
それにしても
船を守ろうと侠気の世界に入り
惨劇を首謀してしまうことになり
船長役のキム・ヨンソクさんの
圧倒的な演技は観てる私達の身体をも
切り刻んでいくようでした
鑑賞日;2015年6月21日