ものすごくうるさくて ありえないほど近い

ものすごくうるさくて,ありえないほど近い
そんな身近な人が突然いなくなってしまったら

大人顔負けの知識を持ちながらも
コミュニケーションをとるのが苦手で
人ごみではパニックになってしまうことがある
繊細な心を持つ息子のために
“調査探検”という遊びを通して
人との関わりに誘う父親

人と関わることに臆病な少年を
この作品のために見出された演技初挑戦というトーマス・ホーンが
豊富な知識を機関銃のようにまくし立てながら
主人公の少年そのものと感じさせる眼差しの演技で見せていく
トーマス・ホーンはクイズ番組の優勝者だというが
欧米映画の少年少女俳優たちを見出していく
キャスティングの確かな目にはいつも驚かさせられる

今回のアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ
惜しくも受賞を逃したマックス・フォン・シドーが
重厚な中にもユーモアを滲ませて
名優の品格~

父が残した鍵と
鍵が入っていた封等に書かれていたブラックという文字から
その鍵の持ち主であろう“ブラック”さんと鍵穴を探しに
ニューヨークの調査探検を開始するオスカー
行く先々で人々と関わらざるをえない状況になるオスカー
そしてその調査探検が進んで行く陰には
また別の
ものすごくうるさくてありえないほど近い
ある心がいつも寄添っていた
オスカーが母親にぶつける怒りは
実は父からの最後の電話を
自分がその場に居ながら取れなかったことへの
臆病な自分自身への後悔と哀しみからだったということを
私達はあとから知ることになる
“ママがいなくなれば良かった”と
思わず心をぶつけてしまうオスカー
“本心じゃないよ”と謝るオスカーに
“本心なのよ”と肯定して
しっかりと息子の心を受け止めて支えようとする
サンドラ・ブロックの演技
母親としての気持ちが胸を打つ
鑑賞日:2012年2月19日