「誕生日じゃないのに」
誕生日はひな祭りの前日。
でも、隣の部屋の背の高い一重くんが、部屋にケーキを持って遊びに来た。
「誕生日は皆からケーキ貰うでしょ。だから、わざと今日にしたんだ」
そう言ってテーブルにケーキを置くと、長いロウソクを二本と短いロウソクを四本ケーキに立てて火を点けた。
「蓮くん、灯り消して」
「何で主役が働くんだよ」
ブツブツ言いながらも、壁のスイッチに手を伸ばし電気を消した。
ケーキに灯されたロウソクの灯りが、ぼんやりとスカイの顔を照らし出す。
「では、只今より、我らがダンスリーダー川尻蓮くんのお誕生日を祝いたいと思います」
「二人で?」
「そう、二人で」
「こんなに食べられないから、皆を呼ぼうか」
「ダメ!やっと二人きりになれたのに」
「ちょっと、それ恥ずかしい・・・」
スカイの直球な物言いに、照れて俯いてしまう。
スカイはいつも真っ直ぐに僕に向かってくる。
ライバルになろうと一生懸命食らいついてくるスカイは、可愛くもあり、かっこよくもある。
「俺は恥かしくない。ずっと憧れていた蓮くんと二人きりで過ごせる仲になったのに、誰に遠慮する必要があるの。俺はどこででも蓮くんが好きなこと隠さないよ」
「分かってるよ。だから恥ずかしいんだって」
「でも嫌じゃないだろ」
自信満々な物言いに聞こえるが、僕を見つめる目には不安が宿っている。
僕の気持ちを探るような目のスカイの隣にぴったりと寄り添うと、一息にロウソクの火を吹き消した。
「あっ、まだハッピーバースデー歌ってないのに」
暗闇の中にスカイの声が響き渡る。
「お祝いは後で・・・いいよ」
闇を味方に、スカイの肩にしなだれかかると、誰にも内緒の誕生日プレゼントがそっと僕の唇に降ってきた。
寄り添う二人。
いいわぁ(≧▽≦)←腐女子です
