こっちにおいで 「ちょっと待って」 一緒にと言う僕の誘いを、そう言って遮った。 いいさ。 忙しいんだよね。 僕の手のひらの上で、右往左往していた頃とは違う。 君は自分の足で立ち、自分の言葉で喋る術も身につけた。 僕もそれを望んでいたさ。 最近の君は誇らしくさえある。 でも。 でも。 僕の前では、今まで通りの君で居て欲しい。 いいさ。 いいんだ。 今度は僕の番だから。 追い掛けるのは苦手だから。 「撃ち落としてみせる」 君の知らない僕を見せてあげるから。 こっちにおいで。