消えゆく世界 ~15~ | infection  ~YooSu~

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「ジュンス・・・冗談なんだろう?」

 

 

震える声が月の光を揺らすように響く。

まるでユチョンが歌うバラードのように、その光は柔らかく闇を包みこんだ。

新しい世界の幕開けは、劇的ではなく、静かに訪れる。

今までの世界も素晴らしい世界だった。

でも、これからの世界もきっと素晴らしいだろう。

だって、僕の側にはいつもユチョンが居る。

ユチョンと共にある日々は、驚きと発見と優しさに満ち溢れている。

僕がここで踏ん張れているのも、ユチョンが居てくれるからだ。

僕は横になっていた体を起こし、ユチョンを見下ろした。

月の光がユチョンの顔を照らす。

僕の大切な人。

僕のすべて。

僕の世界を作る人。

世界は自分の心で出来ている。

感じるものすべてを、自分が生み出している。

それならば、僕はユチョンと共に、この世界を愛で満たそう。

僕らには歌がある。

愛を伝える歌がある。

それは何かに立ち向かえる刃ではないかも知れない。

でも、いつでも心に光を灯す希望にはなり得るだろう。

ユチョンの告白が僕の世界を変えたように、苦しみや悲しみそのものを変えられなくても、月の光のように優しく心を包み込み、歌で闇に沈む世界を照らそう。

消えゆくのは、昨日までの自信のない自分。

何も出来ないと震えていた自分だ。

僕は出来る。

僕には出来る。

何故なら、僕には守りたい人が居るから。

ユチョンも体を起こし、僕と向かい合った。

僕達は微笑みあう。

言葉にしなくても伝わるものはある。

でも、言葉にすれば、それは世界を変える。

ユチョンの頬を両手で包む。

ほのかに温かいそれに、ゆっくりと近付いた。

 

 

「ユチョン、好きだよ」

 

 

僕の想いのすべてを込めて、ユチョンの唇に唇を重ねた。

消えゆく世界が目蓋の裏に走馬灯のように走り、僕は悲しみではない涙を流した。

ユチョンと開く新しい世界を、どんなことがあっても守り抜く覚悟と共に。

 

 

 

終わり