ごくんと唾を飲む音がすると、ユチョンの喉仏が大きく上下した。
「それは・・・ちょっと・・・」
僕がそういう気がないのはユチョンも分かっている。
ただ、甘えて一緒に居たがっているだけだ。
でも、ユチョンが離れると不安が襲ってくる。
ここ数日、夜中に目が覚め眠れなくなることが続いている。
「だめ?」
ユチョンの気持ちに気付かない振りをして、首を傾げる。
ずるいと分かっていても、ユチョンに我慢を強いてしまう。
「分かった」
「ほんと?」
「うん」
「良かった」
ほっとして微笑む僕を、ユチョンは困ったような笑顔で見つめた。
何て残酷なんだろう。
僕だって男だから分かる。
おあずけがどれだけ辛いのか。
しかも、ユチョンは僕のことが好きなんだ。
それをユチョンのせいにして、自分の不安を解消するために利用している。
僕はもっとちゃんとユチョンの気持ちに向き合わなくてはいけないんじゃないか。
日常を取り戻そうとして、非日常に目を背けている。
ユチョンにとって、非日常こそ日常なのに。
僕を好きな気持ちをいつから持っていたのか知らないけれど、消えない想いはすでにユチョンの中で日常の感情だ。
日常が変わるのは怖い。
でも、僕は少しづつでも変化を受け入れる時期に来ているのではないか。
「ユチョン、僕、ちゃんとユチョンとのこと考える。だから、今夜は一緒に居て」
驚いたように目を見張るユチョンの手を取り、力強く頷いた。
続く・・・