「これ、食べてないの誰?」
料理上手なメンバーが作ってくれたご飯を、皆で囲んでいた時だった。
作った本人ではなく、作ってくれる料理も、その料理人も気に入っているメンバーが、眉をしかめて皿を指差した。
大皿に盛り付けられた前菜風なその料理は、ちょうど人数分に分けてあった。
それがきっちり一人前手付かずのまま残されている。
多分、多分だが、指摘したメンバーも、犯人は分かっている。
それでも、手間隙かけて作ってくれたメンバーに申し訳ないと思ったのだろう。
つい、きつめの口調になっている。
チラリと隣を見ると、僕の意中の彼がおどおどと手をあげようとした。
「はい!」
僕は勢いよく手をあげると、さっさとそれに手を伸ばし、口に入れた。
「美味しー。やっぱり取っておいて良かった」
「何だ、取っておいたのか」
「そうだよ。あんまり美味しそうで、先に食べるのもったいなくてさ」
ニコッと微笑むと、僕の言い分に納得したように頷いた。
一瞬止まっていた会話がまた始まり、皆が食事を再開すると、彼が僕の耳に唇を寄せて言った。
「ありがと」
生暖かい息に耳朶をくすぐられ、僕はおもわずごくりと唾を飲み込んだ。
続く・・・・・
ああ・・・
お腹空いた(゜ρ゜)←よだれ