雲の向こうに | infection  ~YooSu~

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YooSuが大好き!なじゅんじゅんのブログです。腐の気があるので気をつけて。

「あっつーい」



水滴の浮いたペットボトルを首元に押し付けながら、じゅんきが言った。

長く続いた雨模様がやっと終わったかと思ったら、いきなり直射日光が肌を焼灼する日々が来た。

たまんないなと思いながらも、緑に囲まれた広いステージからの景色を見つめた。

この季節の風物詩になった野外フェス。

数あるアーティストの中の一組に俺達も選ばれた。

色んなことが重なり、長らくステージに立てていない。

俺達が歌いたくてうずうずしていたように、ファンの皆も、



『早くライブで会いたい!』



と、首を長くして待っていてくれた。

デビューしてから数えるくらいしかステージに立てていない俺達。

でもやっと皆に会える。

太陽はじりじりと肌を焼くけれど、雨の気配はない。

今日のステージは思いっきり楽しめる。



「ほんとにダンスが好きなんだな」



リーダーにポンっと肩を叩かれた。

知らないうちに、体がリズムを刻んでいたようだ。



「しょうくんだって、朝からずっと鼻歌が止まらないじゃないか」



リーダーは、



「ハハッ、確かに」



と笑って、ステージ上で思い思いに過ごすメンバーを見た。

グループ最年少まめは、じゅんきから首元にペットボトルを押し付けられ、両肩を引き上げ縮みあがっている。

おしゃれ番長けいごは、たくみに衣装について熱く持論をぶちまけている。

名前の頭文字をとってS4と呼ばれる、しょうや、しょうせい、すかい、しおんの四人組は、ふざけながらもダンスの最終確認に余念がない。

るきはリーダーと俺が話しているのを見て、小走りで近付いて来て、



「はい、水。熱中症にならないようにこまめに水分補給しなきゃ。喉が渇いたと思った時には、もう遅いって言うから、しっかり水分とって、後、塩分もとらなきゃ。本当はスポーツドリンクがいいらしいけど、これも効果あるって」



そう言ってペットボトルと塩飴を差し出した。



「ありがと」



有難く受け取ると、にっこり笑って白馬の王子のごとく颯爽と他のメンバーにもペットボトルと飴を配り始めた。



「いいグループだな」



リーダーが嬉しそうに言う。

本当にその通りだと思う。

11名の大所帯の割には、とてもまとまっていて、意見の対立もない。

個性が個性と対立するのではなく、個性が個性を認め合い、お互いがお互いを尊敬しあって、連帯感を生み出している。

知らない者同士が出会って、選ばれて、一緒のステージに立つ。

奇跡のような確率の出会いは、奇跡のグループを生んだ。



「リーダー、れんくーん、リハーサル始めよう」



ステージの真ん中に皆が集まって、おいでおいでと手を振っている。

俺とリーダーは頷き合うと、そこに向かって駆けだした。

遠くの空にポツンと綿あめの切れ端のような雲が流れていく。

重く厚く世界を覆っていた雲はもう居ない。

雨は必ず上がる。

どんなに重く厚く雲が垂れ込めても、その向こうにはまばゆいばかりに輝く青空が待っている。



「さあ、一丁ぶちかまそうぜ」



ライブ開始まで数時間。

太陽の日差しさえ霞むようなパフォーマンスを披露するまでもうすぐだ。




















JO1のライブを心待ちにしている皆様に捧ぐ。