子供のように目をきらきらさせて尋ねる君。
まじないのような定型句を例に、そっけなく答えた。
世間では、節分ももはやイベントだ。
何か商戦になるものを探している側の思惑にまんまと乗って、大きな巻き寿司を買って帰った。
君は大喜びで、今年の吉方位「西南西」を向いてもぐもぐと食べた。
その後での質問である。
いつの間に用意していたのか、豆を取り出すとはいと俺の手のひらに乗せ、ベランダへと通じる吐き出し窓を開けた。
部屋の暖気のせいなのか、窓から吹き込む風が心地良くさえ思える。
薄いTシャツ一枚で窓辺へ立つと、手のひらの中の豆を勢いよく撒いた。
ベランダに散らばった豆に、更に豆が降り注ぐ。
隣に立った君が、手のひらいっぱいの豆を撒いていた。
ぽつんと呟いた君の肩を抱く。
皆の幸せを願って、一身に豆を受け止める鬼。
それは誰かに似ている。
鬼の気持ちは分からない。
でも、
「寂しくないといいな」
鬼にも帰る場所がありますように。
そう願いつつ、君と唇を重ね福を呼び込んだ。
節分はせっぷんの日ー(≧▽≦)←
久々のイベント小説でした(・∀・)





