鬼はどこに | infection  ~YooSu~

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「ねえ、鬼ってどこに居るの?」





子供のように目をきらきらさせて尋ねる君。






「外なんじゃないの。鬼は外。福は内って言うんだから」




まじないのような定型句を例に、そっけなく答えた。

世間では、節分ももはやイベントだ。

何か商戦になるものを探している側の思惑にまんまと乗って、大きな巻き寿司を買って帰った。

君は大喜びで、今年の吉方位「西南西」を向いてもぐもぐと食べた。

その後での質問である。





「じゃあ、僕らも豆まきしよ」




いつの間に用意していたのか、豆を取り出すとはいと俺の手のひらに乗せ、ベランダへと通じる吐き出し窓を開けた。






「意外と寒くないな」




部屋の暖気のせいなのか、窓から吹き込む風が心地良くさえ思える。

薄いTシャツ一枚で窓辺へ立つと、手のひらの中の豆を勢いよく撒いた。

ベランダに散らばった豆に、更に豆が降り注ぐ。

隣に立った君が、手のひらいっぱいの豆を撒いていた。






「鬼ってさ、寂しいのかな」




ぽつんと呟いた君の肩を抱く。

皆の幸せを願って、一身に豆を受け止める鬼。

それは誰かに似ている。

鬼の気持ちは分からない。

でも、






「寂しくないといいな」

 



鬼にも帰る場所がありますように。

そう願いつつ、君と唇を重ね福を呼び込んだ。












節分はせっぷんの日ー(≧▽≦)←


久々のイベント小説でした(・∀・)