突風に襟を立てた。
そぞろ歩く街は、すでに暗闇が勝っている。
立ち止まり、開いた傘の影から街を見た。
みぞれまじりの雨を、街路樹が一身に受け止めている。
冬の景色は寂しく感じるが、僕は好きだ。
真夏の太陽よりも、厳しい寒さの方が清冽な気がして、心が引き締まる。
「俺・・・もう一度・・・お前と・・・」
久しぶりに対面した君は、僕の中に溢れるほどの熱情を注いだ後、そう言って押し黙った。
君は冬のような人だった。
純粋で、優しくて、儚く脆い。
僕は君の冬のようなところも好きだったんだ。
春のひだまりのような優しさに溢れた君の、冬のように縮こまってしまう心。
君を見てると四季は季節だけじゃなく、人にも当てはまると思う。
春夏秋冬、すべての季節をその身に兼ね備えていて、どれが一番いいとか悪いとか、そんなものでは推し量れない。
僕にも冬がある。
でも、その冬を凍ったままにしなかったのは、君の存在だ。
言葉を待つ君の体を抱き寄せた。
あんなに激しく愛し合ったのに、すでに夜気に体温を奪われひんやりと冷たい君の体。
いいよ。
もういい。
「僕はずっと変わらないよ」
君が冬の眠りに捕われてしまっていたのなら、僕が春の温かさで目覚めさせるよ。
君と僕。
これからの四季を、共に歩もう。
