「なっ、俺の言った通りだっただろう」
「うん」
僕にJを勧めてくれた兄が、世界中から美しいと称賛される顔をくしゃくしゃっと歪めて笑った。
歪めても、その美しさに変わりはない。
この兄の恋が成就するのは当然と思うけれど、僕のは今だに信じられない。
いつまでも整理のつかない気持ちに、区切りをつける意味で、勧められるままにJに会った。
半信半疑で臨んだJとの対面は、占いと言う域を越えて、僕の心を癒した。
彼を好きな気持ちさえ否定しようとしていた自分を、Jはやんわりと諭してくれた。
占ってもらうと言うよりも、毎回、相談に乗ってもらう気持ちで、素直に自分をさらけ出したら、気が楽になった。
あの日。
彼から話があると言われた日。
彼がピアノ室から出てきたのは、夜半になってからだった。
その時の僕は何かの宣告を受けるような気持ちで、ただ自分の部屋でじっとしていた。
「もう来ないかも・・・」
そう言って、部屋のドアに視線を投げた時だった。
「わあっ!」
突然、手持ちぶさたで、もてあそんでいた携帯が軽やかな音楽を奏でた。
「あっ、びっ、びっくりした」
静かな部屋に鳴り響く音に、慌てて相手も確認せずに電話に出た。
「Jです」
いつもの穏やかな声で名乗ると、僕の返事も待たずに言葉を続けた。
「今夜、あなたにとって、とても重要な事が起きます」
ドキンと胸が鳴る。
「素直に。心の声に従って下さい」
はいと返事をすると同時に、部屋のドアがノックされた。
To be continued.....
ドアを開けるとそこには!
おっきな亀がいたのー(≧▽≦)←切ない話を台無しにするのが好き