明らかに彼の態度が変わった。
どこかに出掛けて戻ってきたと思ったら、
「今夜、話がある」
と、深刻な顔で言われ、了解したと伝える頷きを返すと、少しほっとしたように、廊下を足早に立ち去った。
それから、廊下の一番奥にあるピアノ室に入ったまま、出てこない。
「ご飯の時間なんだけど」
料理上手な兄が、腕を奮ってくれた夕食がテーブルに並んでも、微かなピアノの音が断続的に聞こえるだけで、一向にピアノ室から出てくる気配は無い。
今までも作曲に夢中になって、ピアノ室に籠ることはあったけれど、途中で必ず息抜きと称して、お茶を飲みに来たり、雑談をしに来たりしてた。
でも今日は、なるべく誰とも顔を合わさないようにしているかのようだ。
話って何だろう。
まさか、この前、小さな僕が、我慢出来ずに炸裂したことについてだろうか。
僕の仄かな恋心に気付いて、そんな気はないからと釘を刺すつもりなのかも知れない。
彼にとって、僕は友達で家族だ。
それ以上でも、それ以下でもない。
だから今のうちに、友達や家族としての節度を持つようにと、やんわりとこの気持ちを拒否されるのかも知れない。
「どうした、そんなに辛かったか?」
じわっと目尻に涙の滲んだ僕を見て、料理上手な兄が心配そうに顔を覗く。
「うん、少し」
辛いものが苦手な僕を気遣ってくれた言葉に乗っかって、泣き笑いのまま涙を拭った。
To be continued.....
お待たせ致しました。
やっと続きを書きました。
ちっとも進んでいませんけど(T_T)←いつもだけどな