「どうしたの?」
「何でもない!」
明らかに何でもなくはない膨れっ面でそっぽ向く。
恋人は朝からご機嫌ななめだ。
思い当たる事はない。
最近の記念日はすべてクリアしているし、デートもしてる。
電話だってまめに掛けてるし、甘い言葉も、キスも、夜だって毎日、いやまあ上手く満足させてると思う。
それなのに、何故か今日は機嫌が悪い。
「俺、何かしたか」
「何も」
そう言いながら、唇を不満そうに突きだした。
そのあまりの可愛さに、思わず突きだした唇にちゅっとキスをした。
「もっ・・・もう・・・」
平手が飛んでくるかと思ったが、顔を赤らめて戸惑いの言葉を呟いた。
可愛い。
恋人になってもう何年も経つのに、突然の愛情表現にはまだ照れてしまう。
そういうところが、いつまでも俺の心を捕らえて離さない。
「ねえ、教えて。何をそんなに怒ってるの」
「怒ってない」
「そう?」
「怒ってないよ。ただ・・・」
「ただ、何?」
「あっ、甘すぎるんだよ」
「へ?」
「昨夜の電話」
昨夜は遅くなりそうだったから、おやすみの電話を入れた。
でも帰って来ても、恋人は寝ていなかった。
かなり遅くなったと言うのに、起きて待っていてくれた。
だから昨夜も頑張ったんだが。
「電話、嫌だった?」
「そ、そうじゃなくて。ドキドキするんだよ。付き合って何年も経つのに・・・何であんなに甘いことばかり言うんだよ」
そう言うと、恋人は俺の胸にこつんと頭を当てた。
何だ。
怒ってたんじゃないんだ。
しかも、甘すぎるだって?
「バカだな」
「えっ?」
俺は胸に押し当てられた顔を上げさせ、その瞳をじっと見つめた。
「こんなに可愛い恋人が居るから、甘くなるんだよ」
これからも俺を、その可愛らしさで翻弄してくれと願いながら、潤んだ唇にそっと唇を重ねた。
fin.
チョコレートの代わりに、甘々ユスを皆様に(^∇^)
ハッピーバレンタイン![]()
I’m so in love with you!=君にとっても夢中だよ!