感想文 | Flog

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Frogの研究者の息抜きblog

--- since 01-06-07 ---

今日も寝不足。

で、また、読書感想文で、お茶を濁す。


夏樹 静子の『見えない貌(かお)』を読んだ。

以前日本へ帰国して再び渡米する直前に、成田空港の書店で、時間がないので、その辺のミステリーの新刊らしいのを適当に見繕って買って来た中の一冊。買った時点では、新刊だった訳だが、読んだのは、其の半年後である。

作家の名前は、むろん知っていた。テレビドラマや映画の原作者としててあるが、実は、作品を未だ読んだことがなかった。

正直、余り期待して居らず、読み始めて直ぐに、コレじゃぁ、まるで、◯◯サスペンス劇場だなぁ、と思ったのも確かである。

魚料理店のパートで生計を立てる未亡人である朔子の日常は、時々義父の様子を見に訪ねて世話をしたり、その主催者に会うことを密かな喜びに趣味の陶芸を楽しみ、また、2年前に嫁に送り出した娘の晴菜とは定期的に携帯電話で会話やメール交換を行なうと云った、平穏な日々を送っていたのだが、或る日を境に、娘と連絡が途絶える。婿の家へ転がり込んで、行方不明となった娘の安否を気遣い、警察へ届け出を行なった直後に、娘が遺体で発見される。娘の死を契機に、娘が自分の知らない世界を持って居たことを知る。晴菜から朔子宛の最後のメールの2時間前に『これからメル友に会いに行く』と云うメッセージが晴菜の友達の携帯に送られていた。警察では『メル友』を重要な容疑者として捜査が開始され、やがて、怪しい人物が見付かる。一方、娘の遺留品から、朔子は偶然に、生前に娘が内緒で所有していたと思われる携帯電話を発見する。其の電話に残されたメーッセージの遣り取りから、この相手こそ、晴菜を殺めた犯人に違いないと見当をつけた朔子は、警察にも届けず、自らの手で、犯人探しを始める・・・・。

正直、ココまで読んだ段階で、もう、この先を読むのは止めようか思った。この後、TVドラマで良く観られる様なご都合主義の展開で物語が進んで行くのだろう、と。

しかし、この判断は、大間違いであった。

幸いなことに、一部、正しい判断も下しており、つまり、もう少しだけ読み進めてみようと思い立ったことである。その判断の御陰で、今、私は、コレを書いている訳だ。

この先の展開は、ネタバレになるので、書かない。

話は二転三転四転して進んで行くのである。

作者は、本作を書くに当たって、充分な下調べをして臨んでいることは、容易に読み取れる。作者の年齢(1938年生まれ)を考慮すれば、丹念な取材に基づいて、現代的な話題をこれほど自然に描き切ると云う作者の力量には、正直、舌を巻く。

上を読んだだけでは、実は、ほとんど、何の解説にもなっていない。しかし、上述した部分より先のストリーについて書いてしまうのは、他のひとの楽しみを奪ってしまうことなので、それは出来ない。もし、本書を読み終えたなら、その意味は、必ず、分って貰えると思う。

今日のつぶやき:N.D.
今日の瞬間最低体脂肪率: N.D.
今日の万歩計: N.D.