エリー | Flog

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Frogの研究者の息抜きblog

--- since 01-06-07 ---

サンショウウオは、良く再生実験に使われます。 例えば、前脚を切断すれば、前脚が再生して来ます。その際には、先ずblastema(芽体)が形成され、そこから複雑な組織を伴った脚が再生して来る訳ですが、代わりに尻尾が生えてくることはありません。コレまでの一般的な『常識』では、 blastemaは、分化していた細胞が、脱分化した結果の、未分化(逆に云えば、何にでも分化可能な多能性)の前駆細胞の集団だと思われていたのですが、natureの最新号に、この常識を覆す論文 が。

naturenewscache )にも取り上げられています。

Last authorのElly Tanakaは、実は、3-4年前にウチのdepartmentに来る可能性があったんです。Offerして、来る来ないと散々待たされたあげく、結局来なくなったんですがね。其の頃、丁度、ウチのlabで始めた新しいtransgenicの方法の情報を仕入れて持ち帰って作ったtransgenic axolotlを使った実験です。

と云っても、手法的には、単にGFPで標識された細胞を追跡したと云うだけの話なんですが、それがNatureのarticleになると云う意味では、得られた結論が、それ程impactの有るものだったと云うことでしょうか。

GFPを全身で発現している個体の前脚の組織を、GFPを持たない個体の前脚の部分へ移植し、その脚を切断して、再生が起きる際に、GFPを発現している細胞群がどのような挙動を示すかを観察。

結果、分かったことは、実は、blastemaを形成している細胞群は、均一な未分化な状態の細胞からなるのではなく、その細胞が由来した元の組織の『記憶』を持っており、元の組織以外の別な組織にはほとんど分化出来ない、例えば、GFPで標識された細胞が筋肉由来だとすると、移植された先の脚で、再生が起こる際は、GFPで標識された細胞は、筋肉にしか分化出来ないと云う様に、てんでバラバラな不均一な細胞の集団からなっていることが判明。例外は、皮膚と軟骨由来の細胞では、両者は、互いに、元の組織以外にも軟骨や皮膚組織にも分化可能である。

この実験結果が意味するところは、所謂、再生医学を考える時に、大きなヒントとなる可能性が。つまり、再生する為に使われる細胞は、必ずしも、完全に脱分化している必要がない、と云うこと。逆に、若しかすると、完全な未分化な状態の細胞からは、再生を起こすのは難しいのかも・・・・。

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今日の万歩計: 10,000以上(resetされて正確な値不明)