あじさいの季節です。
あじさいの花を見ると
祖母を思い出します。

 

いつもどこか涼しげで
派手ではないのに目を惹く、
上品な姿が祖母と重なるのです。

 

いつも人を立てて、決して出しゃばらず
自分のことをしている姿を見たことがなかったので、
子供ながらに
おばあちゃんはいつご飯食べてるのかな
と不思議に思うほどでした。

 

その祖母もいつの頃からかぼけてしまい、
大好きだったはずの和菓子を持って会いに行くと

 

きれいだねぇ
こんなきれいなお菓子見たことない
おいしいねぇ
こんなおいしいもの食べたことない

 

と行くたびに感動して喜んでくれていました。
忘れてしまっても、また喜んでくれればうれしくて
いつもおいしいものを持って会いにいっていました。

 

どんどんぼけてしまって
誰が誰だかわからなくなっても
人の悪口を言ったり、

疑って憎たらしいことを言うことはありませんでした。

 

いつも誰かのことを考えて
自分が犠牲になることを犠牲とも思わず、
人の幸せを自分の幸せと感じ、
穏やかな毎日を過ごしていたんだろうなと思います。

 

涼しげに咲くあじさいを見かけるたび、
祖母を思い、穏やかな気持ちになります。

 

いい季節です。