5年間コツコツ準備をしてきた「18人のプレイアデス」の公演が迫ってきました。あと約10日。
本来ならば昨年行われるはずだった本公演。一年後は大丈夫だろうと思っていたけれど、緊急事態宣言の延長が騒がれています。誰も予想しなかった事態に辟易している方も多いかと思います。

「コロナだから出来ない」もうこの言葉は聞き飽きました。だったら「コロナだから出来ること」を探せばいいのです。

延期が決まってからの一年、リモートでの練習や会議などを重ね、普段は気にかけていないような細かい部分までリハーサルする事ができました。また、演奏を録画して送りあったりというアイディアも生まれ大変有意義な
練習方法も確立されました。コロナにならなければ、ここまで綿密な練習はきっと出来なかった事でしょう。

話はかわり、作曲家クセナキスは演奏不可能な難解な楽譜を書く事で有名です。例えば打楽器のソロ作品「Rebonds 」では両手でロール(持続音)しながらリズムを刻まなければならなかったりと、腕が3本なければ出来ないような箇所があるのです。しかし、奏者は色々な創意工夫をしてその難所を乗り越えて演奏します。

与えられた状況だけをみて「できない」と投げ出すことは簡単です。でもそこから「どうやったらできるのだろう?」と踏み出す事で今までの自分から一歩前進する事ができるのです。

コロナ禍という今の社会状況とクセナキスの書く楽譜はどことなく類似している気がします。

イレギュラーだから諦めるのか。イレギュラーだからこそ成長の糧にできるのか。

我々inc.は後者を選び突き進んできました。

6/5の公演を乗り越えた先には未だ観たことのない世界が広がっていると信じて、どんなに向かい風でも前を向いて歩いていきます。


新野将之