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こうした環境のもとで、毛沢東の倫理観は形成された。 一九一七年から一八年にかけての冬、い
まだ学生のまま二四歳を迎えた毛沢東は、 一九世紀後半のさほど有名でないドイツ人哲学者フリー
ドリヒ・パウルゼンの著書『倫理学大系』に注釈を加えた長大な論文を書いた。この論文には毛沢
東の人格の中心的要素が表れており、それはその後六〇年の人生において終始変わることなく毛沢
束の統治を特徴づけることになった。
毛沢束の倫理観の核心はただひとつ、「我」があらゆるものに優先する、という概念だ。「道徳の
価値は他人の利害を行為の動機と為すことにあると考える人もいるが、吾はそのようには思わない
……吾人(われら)は……心ゆくまで満足を得たいと欲し、そうすることでおのずから最も有益な
道徳律を持つに至る。もちろんこの世界には人間がおり物事があるが、それらはすべて我のために
存在するのである」