日本経済突然死論

通貨発行益を活用しようとすると、無駄遣いが増えて、日本経済が駄目になるという論 理立ては、じつは相当弱い。

そもそも国の予算は、政府の提案を国会で審議して決まるものであり、明らかな無駄遣 いを予算化すれば、内閣の支持率が低下し、政権が崩壊するからだ。

また、日本は教育機関への公的支出がOECD諸国のなかで最下位に近く、公的年金の 所得代替率(年金給付の現役世代の手取り収入に対する比率)も先進国最低水準だ。だから、 財政に余裕があったら、国民生活改善のために充実しなければならない政策はいくらでも あるのだ。

そこで、通貨発行益活用を妨げようとする人たちは、日本経済が突然死するという主張 を展開する。財政赤字を出し続けていても、経済に悪影響がないという証拠が積み重ねら れていくなかで、ある日突然経済が大崩壊するという終末論だ。イメージとしては、プ レートの歪みが蓄積していくと、ある日突然、歪みに耐えきれなくなったプレートが大き

く滑って、大地震が起きるといったものだ。