雨の音もだいぶ静かになりました。今回の台風は自分の住む地域には格段の影響もなく無事に通過していってくれました。

 

いやむしろ、私事に限っていえばよい影響を残して。というのは、次の検定に受かるかどうか心配で矢も盾もたまらず、検定までに練習できる日はないかとキャンセル狙いで教習所に行ってみたら、案の定、台風のおかげで空きが出て、自由教習を午前と午後、1時間ずつ2時間受けることができたからです。

 

午前のほうの担当は、みきわめを出した遠山(仮名)教官でした。「一本橋落ちちゃったんですよ」「聞いてる。どうして」「急制動、スラロームと来て、気力がもたなかったんですよ。余裕がなさすぎる」「それは最初から分かっていたでしょ」

 

なんか、ああ、やっぱりみきわめを出した人は気にするんだ、という気持ちと、たぶん、一本橋からあからさまに落ちていなければ自分は受かっていたんだ、ということが伝わりました。他の人のブログだと、厳しいふうの教習所があるけれども、ここは多少の未熟でも通してしまう系なんだな。

 

そういえば、昨日の試験で、わたしの前の受験者の人は坂道で1回エンストして、急制動で止まったのはは1本目の線だった。彼もまたちょっと技術的にやばいふうに見えたけど、合格者の階段を嬉々として上っていった。減点方式のさじ加減で通過していったのだと思う。

 

さて、自由教習では「好きなとこ練習して」と本当に自由にしてくれて(されて)、苦手意識の強すぎるクランクを何度も練習。2回倒したし、途中で止まったのを押して出たりもする。昨日できたのは、やはり成功率30㌫程度のミラクルだったとしか言いようがない。

 

午後の教習は、全員優しい系の先生オールスター全員集合で、なんだこの組み合わせは?とあまりの神々しさに直視できないほどだったが、高井(仮名)教官が自分を引き受けてくれていた。

 

というか、高井教官はしきりに「上手になりましたね」と感心する。だからさ、とりあえず時間をかければ遅かれ早かれ上達はすることになっているのさ。だが、彼はたくさん事例を観ていない。だからいちいち感動する。まだまだナイーブなのだ。

 

そして、昨日も言ったけど、彼は要求基準に妥協がなく、わりと付ききりで細かく指導しようとする。ベテランは努力は自力でさせといて、ポイントだけ指導に来る。作業効率がめちゃめちゃいい。どちらも客(生徒)側から一長一短でな、ま、よいとこを見とけばいいのであるが、しかし、やっぱり丁寧に営業されると嬉しい。

 

おそらく最後となる教習で(次はかならず受かるからな)引き受けてくれるのも嬉しいし、「沖縄でも雨が降るかもよ」と前にした話を覚えていてくれるところ、濡らすとイヤだから自分のヘルメット持ってこなかったと言ったら「そんなこと言ってる間にカンタンに落とすよ」などとツッコミを入れてくれるところ、ひとつひとつがありがたく、ああ、生徒はこういうのが好きなんだ、と思う。

 

とにかく高井教官は今日もなにかを教えようとしてくれる。だが、ここにきて、もう、あなたがわたしに教えられることはなにもない。今まで言われてきたことにもう集約されている。悲しいけれど、たとえできなくても、次のステップに進む時期が来ているのだ。

 

「クランク出たあとにすぐ左折できないから公道でも対向車線はみ出しちゃうかもしれないよー」「逆走行だね」ああ、伝わらない。あるいは、この人も、知っていて目を瞑る。生徒はある程度のところで卒業させなければならない。

 

この小さい営利目的の共同体は、少子化、車離れの変化する時代に選ばれるための努力を続けている。自分たちが食べていくために、それぞれが協力して組織を成立させている。生徒を不快にさせずにローテーションさせなければならない。これはビジネスなのだ。

 

教習を終えて、練習場から事務所に戻りながら雑談をする。「自分の買うんでしょ」「うーん。最終的には買うと思うんだけど、大型習ってからにしようかと」「大型!ここで?」「うん、ここで」

 

サヨナラになりそうな場面にシュワルツネッガーさながらの「アイル・ビー・バック」。今日の1回目の遠山さんも「それここで取るの?」と聞いてきた。「うーん。種子島で合宿、ていうのもいいなと思ってるんですよ」

 

もう一度選ばれると思うとき、彼の胸中はどのように思うのであろう。選ばれて当然のことをしてきたと思ったであろうか、それとも、適切な指導もできてこなかったのになぜと思ったであろうか。

 

彼の好むと好まぬとにかかわらず、わたしは強引にここの生え抜きの卒業生になりたいと思う。「初めて」は親切にされるけれど、2回目以降に行った場所でキャリアに見合った実力がないと居場所を作るのが難しくなる。ま、いいじゃないかね、本当にここでなし得なかったら、そのときに種子島に行くよ。さすがに2回目なら余裕をもってできるだろう。

 

というところで本日分を終えます。そういえば、今日、初めて倒れた教習車をひとりで起こすことができました。教習場によっては、入所前に起こさせて適性を見るようなところがあるようだけれど、ここは引き起こしの練習はない。中型免許を取ったって、必ずしも上限の排気量のバイクに乗らなくてもいい。50CC以上のバイクに乗れるという免許なのだから、教習車は起こせなくても起こせるバイクはやまほどある。

 

しかし、バイクにここまで気もちも時間もお金も投入するはずではなかったんだけどなあ。でももう、乗りかかった船、気持ちをしっかり持って最後までやりぬこう。ではまた。