なんとなく断髪・襟足好きのためのようなブログ

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散髪や襟足に関する小説などなんとなく書いています。

ハイスクール・ボブ
~ある全寮制高校のカット事情~

 

17 インナー刈り上げ
(1)

6月26日

 2年、3年のカット指定日も過ぎ、全学年全生徒が夏仕様のスクールボブになった。
 昼休み、理奈は、同じクラスで同じ寮室である倫と一緒に食堂棟に向かっていた。
 その時、食堂棟に向かう屋外の通路で一人の上級生が理奈たちの前を通り過ぎていった。

 その上級生の左サイドの髪が風でふわっと舞い上がった時、もみあげの所が耳より上のラインまで青白くなって短く刈り上げられているのが一瞬見えたのだった。
理奈「あれっ、さっきの人、もみあげのところ剃っているみたい。」
倫「うん、一瞬だったからあまりよく見えなかったけど、髪がないみたいな感じだったよね、」

 その後、理奈と倫は、食堂に入り、日替わりランチを注文して、ランチの載ったトレーを持って席に着いた。
 理奈と倫から少し離れた右隣の席に座った上級生は、左サイドの髪を耳にかけて耳を露出させてランチを食べている。
 理奈は、右を向いて、その上級生の左サイドを見ると、校内ですれちがった上級生と同じようにもみあげの所が耳より上のラインまで青白くなって見える。よく見ると2ミリぐらいの長さだ。

 さっき食堂に向かう時に見た上級生とはまた別の生徒だ。
理奈「倫、あの人も、もみあげのところが刈り上がってるわ。」
倫「本当ね。なんだか涼しそう。」
 他にもここ最近でサイドの内側を刈り上げている上級生を何人か見かけた。
 尼曽根学園では、サイド内側刈り上げがちょっとしたブームになっているようだ。
 しかし、理奈は、これは校則としてOKなのか疑問に思った。
 サイド内側を刈り上げても外観は規定のスクールボブだから問題ない。しかし、サイドの髪を耳に掛け、刈り上げた内側を露出するのは尼学生の品位を損なう恐れがあると学園側が考えているかもしれないからだ。
 放課後、寮室に戻った理奈は、有紀、倫、京とサイド刈り上げのことについて話をしていた。
理奈「今日、倫と一緒に食堂で左のサイドの内側を刈り上げている上級生の人を見たわ。」
有紀「私も、同じ人かどうかわからないけど、サイドの内側が刈り上がっている上級生の人を見たわ。」
倫「校則的にOKなのかしら」
京「そういえば、廊下で生活指導の先生に呼び止められ、注意をされている生徒がいたのを見たわ。その生徒は、サイドの髪を耳に掛けていて、サイドの刈り上げが見えていたわ。」

倫「やっぱり注意されるんだ。」
理奈「クラスの中で、サイドの内側を刈り上げている子っている?」
有紀「1組はいないわ。」
京「そうね。いないわね。」
理奈「2組もいないわね。」
倫「そうね。」
 さすがに1年生で校則に触れそうなことをする生徒はいないようだ。
有紀「でも、サイドの髪を耳に掛けて、もみあげのところが刈り上がっているのって、なんだかかっこいい感じがするわ。」
理奈「有紀もやってみたいの?」
有紀「校則でOKならやってもいいかもだね、」
倫「私は、恥ずかしいから・・ちょっと・・・。」
京「私もOKならやってもいいかも。涼しそうだし。」
理奈「私はあまりしたいとは思わないわ。でもOKになって、みんながしてるのだったらするかも。」


 翌日、理奈は登校して両棟から校舎に向かっている。

 校舎の入口にある掲示板の前に人だかりができてざわざわしている。
 理奈もそこに近づき掲示板を見た。
 掲示板にはこういう注意事項が書かれた紙が貼られていた。

「最近、スクールボブのサイドの内側を刈り上げている生徒が一部見られます。」

「これは、尼学生の品位を損なう恐れがあるため、サイド内側の刈り上げについて、それを認めるかどうか現在生活指導部と生徒会本部と風紀委員会で協議中です。」
「結果が出るまでは、新たにサイド内側刈り上げをしないようにしてください。」
「現在、すでにサイド内側刈り上げをしている生徒は、そのままにして刈り直しをしないでください。」
生徒指導部
生徒会本部
風紀委員会

 生徒たちは、掲示板を見ながら、友人たちと話をしている。
「これ、どうなるのかしらね。」
「サイド内側刈り上げを認めてほしいよね。」

「去年までは何も言われなかったのにね。」
「去年はそういう子がいてても、数が少なかったのと、サイドの髪を耳に掛けて先生の前で刈り上げを見せたりする子があまりいなかったので目立たなかったんじゃないかな。」
「熱中症対策にもなるんだし、サイドの内側を刈り上げを認めてほしいよね。」
「そうね。ここは生徒会に頑張ってほしいよね。」

 理奈は、掲示板を見終わると、校舎に入って上履きに履替え、1年2組の教室に向かった。

 

つづく