本読書記録No.19本
少女マリーとくるみ割り人形の 

美しく幻想的な 

クリスマスイブの物語




クルミわりとネズミの王さま

作:ホフマン 訳:上田真而子(岩波少年文庫)

鉛筆らすじ鉛筆
今日はクリスマスイブ。

シュタールバウム家の子どもたちは、不思議なドロッセルマイアーおじさんからのプレゼントを心待ちにしていた。

末っ子のマリーは、たくさんのおもちゃの中から風変わりなくるみ割り人形を見つける。

くるみ割り人形をたいそう気にいったマリーだったが、これを兄のフリッツによって壊されてしまう。

その夜、マリーが壊れたくるみ割り人形を休ませていると、ネズミの王さまが率いる軍団があらわれ、くるみ割り人形と戦争を始めてしまう…!

チャイコフスキーのバレエ組曲『くるみ割り人形』の原作となった、

夢と現実が入り混じるドイツの幻想的な物語。



チャイコフスキーのバレエ組曲『くるみ割り人形』を

初めて聴いたのは幼稚園の頃、

ディズニー映画『ファンタジア』に収録されていた。

映画には全作品が収録されているが、その中でも『くるみ割り人形』の

音楽とアニメーションが大好きで、何度も何度も繰り返し観ていた。

(ちなみにファンタジアの『くるみ割り人形』のアニメーションは原作とは異なる世界観で描かれている)

『くるみ割り人形』はこれまでに何度か演奏してきたが、

今ようやく原作を読んでみようという気になった。
(↑いや遅いやろがい!)

『クルミわりとネズミの王さま』が発表されたのは1816年で、その頃の日本は江戸時代中期。

そんな昔に書かれたとは思えないほど、現代のファンタジー作品に引け劣らない描写で書かれていて、物語の音楽や空気感、香り、人物たちの感情が鮮明に伝わってくる。

特に終盤の「人形の国」での場面では、街がお菓子で出来ているという設定で、当時のドイツ菓子が細やかに書かれているので、甘い物が欠乏している時に読むと大変なことになる(笑)


本作品は小学5・6年生以上を対象に翻訳されているが、大人でも充分に心満たされる美しく華やかな物語である。


ちなみにバレエ組曲『くるみ割り人形』は、19世紀の小説家アレクサンドル・デュマによって翻訳したストーリーが基になっており、原作の中盤が省略された構成になっている。
 

 

今回も最後までお読みいただき、

ありがとうございましたスター

 

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あしあと伊東早百合あしあと

読書記録No.18

日本の文豪が翻訳した 

ひと味違う 

アリスの物語

 

芥川龍之介・菊池寛 共訳

完全版 アリス物語

/ルイス・キャロル 澤西祐典(訳補・注解)

(グラフィック社)

 

芥川龍之介と菊池寛が『不思議の国のアリス』を翻訳!日本の文豪によって翻訳された、1927年刊行の『アリス物語』。

 

翻訳者が芥川龍之介という事と、表紙と挿絵の可愛さにズギュンときて、気付けば秒でレジに向かっていた。

 

翻訳されたのは昭和初期で、まだそれほど英国文化が一般的に広まっていなかった時代。

 

それもあって、作中のいくつかの表現が和風に翻訳されており、日本文化に近づけられたアリスの物語が感じられる。

 

例えば「チェリーパイ」が「さくら饅頭」になったり、「ティーカップ」が「茶のみ茶碗」になっていたりと、『不思議の国のアリス』に親しみを持ってもらえるように、当時の読者に寄り添った翻訳になっている。

 

原作にあるような言葉遊びの要素は少ないが、昭和初期の日本における英国文化の距離感を感じられる作品であり、澤西祐典氏による訳補・注解もあって、令和の我々も当時にタイムスリップして読んでいるような気分になれる。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございましたスター

 

伊東早百合あしあと

◆読書記録No.17◆

 

アツアツおでんで

お腹も満足 

心もポカポカ

 

おでんオデッセイ/山本幸久(実業之日本社)

 

東京の商社を退職して伊竹市にUターンしたアラサー女子の静香。

母親が切り盛りする実家の「有野練物」をしばらく手伝っていたが、一念発起して町おこしプロジェクトに応募し、伊竹市銀座商店街の一角でおでん屋台「かいっちゃん」を営むことに。

今宵も変わり種な常連客、そして高校時代の元カレのDJポリスの六平太もやってきて…。

身も心も温まる満腹ハートフルストーリー。

 

 

 

2月22日は「おでんの日」

新潟の「越乃おでん会」が制定した記念日で、熱々のおでんを食べる際に

「ふ~(2)、ふ~(2)、ふ~(2)」

と息を吹きかけて冷まして食べる様子が由来となっている。

 

そんな「おでんの日」に是非とも読んでいただきたいのが本作品。

 

主人子・静香が営むおでん屋「かいっちゃん」には、おでん種と同じように様々な人々が訪れる。

 

定番の“ちくわ”、味の染みた“大根”、人気者の“たまご”、無いと寂しい“こんにゃく”、何者なんだ?“ちくわぶ”

 

おでんにもそれぞれ個性があるように、訪れる人々もそれぞれの人生を噛みしめながら生きている。

 

そして出汁の中でじっくりと煮込まれているおでんのように、心に沁みる温かな人と人との縁が繋がっていく。

 

本作品では、おでん種それぞれの食材や作り方、成り立ちが細かく描かれていて、よりおでんに親しみを持ち味わい深く食べることができる。

 

読了後、あなたは必ずあっつあつのおでんが食べたくなる!

 

そして…出汁で割った焼酎が飲みたくなる!!

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございましたスター

 

伊東早百合あしあと

◆読書記録No.16◆

 

今度の不思議の世界は 

鏡の向こうの 

チェスの国!

鏡の国のアリス/作:ルイス・キャロル 訳:河合祥一郎(角川文庫)

 

「不思議の国」から半年経ったある雪の日。

子猫のキティと遊んでいたアリスは、暖炉の上の鏡をくぐり抜けてしまう。

そこは、赤と白のキングやクイーン、ナイトたちが住むチェスの世界だった。

アリスもチェスゲームに参加し、女王を目指すのだが…。

今作も個性あふれる登場人物とともに繰り広げられる、アリスの物語。

 

『鏡の国のアリス』は、ティム・バートン氏監督の『アリス・イン・ワンダーランド』に多く影響を与えているように感じた。

 

前作の『不思議の国のアリス』はトランプの世界だったが、本書はチェスの世界の物語である。

 

ストーリーもチェスのルールに沿って進んでいくので、チェスをやったことがないと、少々理解するのが難しい…。

 

しかし、前作同様に言葉遊びがふんだんに使われているので、リズムよく物語を楽しめる。

 

私の推しのトゥィードルダムとトゥィードルディーが出てきて嬉しかったが、彼らの話し方が関西弁で翻訳されていたので、より一層面白かった。

 

中学校の英語の教科書に出てきたハンプティダンプティが、原作ではかなり面倒くさくて厄介なキャラクターだったとは…笑

 

本書は、ルイス・キャロルが“実在のアリス”に対して抱いた「アリスが少女から大人の女性へと成長していく寂しさ」を含んで書かれているので、前作と続けて読むとアリスの成長はもちろん、ルイス・キャロルの想いも感じながら読める作品となっている。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございましたスター

 

伊東早百合あしあと

◆読書記録No.15◆

ウサギの穴のその先は 

へんてこりんな 

不思議の世界!

 

不思議の国のアリス/作:ルイス・キャロル、訳:河合祥一郎(角川文庫)

 

ある昼下がり、アリスがお姉さんと土手で座っていると、チョッキを着た白ウサギが懐中時計を手に急いで走っており、生垣の下の穴にぴょんと飛び込みました。

アリスもウサギを追いかけて穴に飛び込むと、そこは…へんてこりんな不思議の国だった!

個性的な登場人物たちと、ユーモアあふれる言葉遊びで展開される、世界的児童文学の傑作。

 

私の知っているアリスといえば、ディズニー映画の『ふしぎの国のアリス』である。

 

ディズニー映画のアリスはミュージカル要素が溢れていて、色彩豊かでテンポよくストーリーが展開していく。

 

なので、「原作のアリスもそんな感じなのだろうなぁ」と思っていたが、

河合祥一郎氏訳の本書は原文の韻を踏んだ文や駄洒落といった言葉遊びを重視した翻訳となっている。

 

本書のあとがきにも書かれているが、

この物語は“実在するアリス”のために書かれた作品であり、

チェシャ猫や帽子屋、三月ウサギといった登場人物たちも、モデルとなった英語表現や実在の人物がいたというのだ。

 

大人になるにつれて忘れていってしまう、子どもの頃の無邪気で純粋な心。

 

あの頃の自分だったら、どんなに不思議なことが起こっても、アリスのように

「へんてこりん!へんてこりん!」

って言いながら楽しんでいくのだろうなぁ。

 

そんなことを考えさせてくれる不屈の名作。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございましたスター

 

伊東早百合あしあと