裏返しの黴。 | 緋ノ響馨

緋ノ響馨

実話綴の緋と演技性の獣,響.

意識で齧り尽した、

穢れた質の内側には、

待ち焦がれた安息の眼が在った。

 

( 戻シテヤル )

 

零れた言葉。

知る秩序に打撃を与えるだけの愛が無い。

 

搾り取る事が出来るのは、

慣らされた痛覚。

裏返しの黴そして、

一つのラメント。

 

痩せた蜜語を纏うだけの此の僕が紅く咲けると御思いか?

アノ獣の様に。

押しころされた器官は美しいと悶えながら。

 

悲劇が貶められる事等、

許しはしない。

頸音が邪魔をする日でさえ、

壊れて行く化けの皮に価値を見出す。

探す、

溶かす、

落ちる度に優しく舐る。

 

生き苦しいのは最早趣味と嗤う。

 

僕は、

私は、

君は、

誰なのでしょう。

実験的に愛された後の闇は、

どう燃えるのでしょう。

 

 

2016.12.29/2017.1.10