⑬ 日報や顧客情報など従業員のメモで運用できるものに経費を掛けようとはしないのでは
深掘り:
中小企業では、“とりあえず手書きメモ”で日々の業務が回ってしまうことが多くあります。
そのため、たとえ情報がバラバラで探しにくかったり、属人化が進んでいたりしても、「今のままで支障はない」と経営側が判断してしまい、わざわざコストをかけてシステム化する動機が生まれにくいのが実情です。
現場にとっては「不便」があっても、“メモを取っておけば後で何とかなる”という運用が常態化しており、小さなストレスやミスが積み重なっていることに気付かれていないのです。
具体例:
営業担当が訪問メモをノートに書いていて、他の人が内容を把握できない
→ 「○○さんに聞かないとわからない」状態が続き、引き継ぎが不完全でトラブルに発展することも。
「日報があるから」と安心していたら、誰も見返していなかった
→ 手書きの日報は提出されるものの、内容がバラバラ・読みにくい・集計できないため、業務改善に生かされていない。
お得意様の対応履歴が紙にしか残っておらず、引継ぎ後にクレーム発生
→ 「前任者がどう対応していたか分からない」という理由で、本来防げたはずのクレームが発生。
なぜ“記録のデジタル化”にコストをかけないのか?
メモで何とかなっていると思い込んでいる(慣れの問題)
データの価値が“将来的な利益”として理解されにくい
「従業員の努力でカバーできる」と考えてしまう
システム=高額という先入観が根強く、検討すらされない
補足のまとめ:
メモは「記録」にはなるが、「情報」にはなりづらい。
情報を資産として活かすには、検索・共有・分析ができる形式(=デジタル)で蓄積されることが不可欠。
小さな現場メモも、「企業の経験」として資産化する意識がなければ、DXもAI活用も始まらない。