放射能漏れ伏せる 再処理施設「ヨウ素放出」
核燃機構東海事業所
核燃料サイクル開発機構東海事業所(茨城県東海村)の再処理施設で、低レベル放射性廃液の処理中に放射性ヨウ素129が大気中に放出されるトラブルが、14日に起きていたことが分かった。
核燃機構は「ヨウ素が放出された」とだけ広報して、放射性物質とは説明せず、警報が鳴ったことも伏せていた。経済産業省原子力安全・保安院も「丁寧な広報を心掛けるべきだ」と同機構の姿勢を批判している。
関係者によると、14日午前11時すぎ、原発の使用済み燃料を再処理する施設の一部「低放射性濃縮廃液貯蔵施設」で、中間排気モニターの放射性ヨウ素の値が、自主的な管理設定値を超えて1分当たり350カウントに急上昇し、施設内に警報が鳴った。その後、外部に通じる排気筒のモニターの値も急上昇し、大気への放出が確認された。
東海事業所の広報担当者が「ヨウ素放出量の指示値が一時的に上昇」などと書いた紙を茨城県庁の記者クラブで配ったが、放射能漏れとの説明はなく、警報が鳴ったことも伏せられていた。
今年5月の処理の際にアルカリ性廃液が配管に残留し、今回の処理で酸性廃液を流したため混ざって反応、ヨウ素が揮発した可能性が高いとみて調べている。
広報担当者は共同通信の取材に「法令上、報告が必要な事態ではなかったが、放射性物質と説明しなかったのは不注意だったかもしれない」と話している。
このトラブル中に漏れた放射性ヨウ素の量は保安規定に定める1日当たり最大放出量の560万ベクレルの14分の1に当たる約40万ベクレルで、安全に問題はないとしている。
(中日新聞 2004/10/17)