原発後処理で電力会社負担2兆4000億円


総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)は11日、小委員会を開き、使用済み核燃料の再処理や廃棄など原子力発電の後処理にかかる約18兆8000億円のうち、燃料加工費など約2兆4000億円を電力会社の負担とすることを決めた。
ウラン濃縮工場の解体費用やMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料の加工費は、後処理費用ではなく、電力会社が負担すべき経費と判断した。さらに、使用済み核燃料の輸送費約9000億円も電力会社の負担とする方向で検討する。


後処理費用のうち約10兆800億円分は、電力会社の引当金などで回収する仕組みができているため、電気料金に上乗せする形で消費者から徴収する総額は、約8兆7000億円から5兆4000億―6兆3000億円の範囲に減額される見通しとなった。
また、電気料金に上乗せする形で消費者から徴収する費用のうち、既に発生した使用済み核燃料の再処理費用については、電力会社と新規参入した特定規模電気事業者(PPS)の顧客から15年間で回収することを決めた。今後発生する費用については、電力会社が顧客から40年間で回収する。


資源エネルギー庁は、この日の議論を受けて、電気代に上乗せされる費用の試算値などを21日に開かれる同調査会に提出し、具体的な制度設計を進める方針だ。
原子力発電所の後処理費用は、過去の分も含めて2080年ごろまでに計18兆8000億円かかると電気事業連合会が試算していた。

(読売新聞 2004/05/11)