放射能レベル一定以下なら原子炉解体ごみは産廃 新基準導入


経済産業省原子力安全・保安院は、廃炉となった原子炉の解体に伴って大量に出るコンクリートや金属などの廃棄物について、放射能レベルが一定以下なら再利用や産業廃棄物としての処分が可能とする基準の導入を決めた。


現在主流となっている110万キロワット級原発を解体した場合、50万トン程度の解体ごみが出るとされる。国内で稼働中の商業炉52基のうち、営業運転開始から30年を超えた炉が既に5基に上り、近い将来訪れる廃炉ラッシュで発生する膨大なごみの処分を見据えた制度整備が狙い。
来年の国会への法案提出を目指し、放射能の測定方法や制度などの検討を進めている。


保安院が導入するのは「クリアランスレベル」と呼ばれる基準で、人や環境への影響がないものを区分する放射性物質の濃度。
自然界から受ける放射線レベルに比べ十分小さく、人体への危険が無視できる年間0.01ミリシーベルト以下となるよう、放射性核種ごとに濃度の基準を設定する。
例えば、1998年に運転を終えた日本原電の東海発電所(茨城県東海村)の場合、2001年から始まった解体作業で約19万2000トンの廃棄物が発生する。


このうち、約12万8700トンは放射能に全く汚染されていない廃棄物。
さらに、排気筒や燃料取り換え装置などの約4万5400トンは放射能が極めて低く、クリアランスレベルが導入されれば一般の産業廃棄物として扱うことが可能になる。
放射性廃棄物として地中に埋めて処分するのは、炉心部分などの残る約1万8000トンで済むことになる。

(中日新聞 2004/05/04)