【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
「青い光」目の水晶体で反応? チェレンコフ光


「突然、青い光が広がった」。今回の事故で大量被ばくし、病院に運ばれたJCOの作業員は、事故の瞬間をこう語っている。この「青い光」とは何か。専門家は、目を突き抜けた放射線によって生じたのではないかと指摘している。
水やガラスなど、透明な物質の中を電子などの電気を帯びた粒子が高速で運動すると「チェレンコフ光」という青白い光が発生することが知られている。原発などで、燃料貯蔵プールが青く見えるのもこの光のためで、放射線によってはじき出された粒子が水の中を高速で運動した結果だ。

日本原子力研究所によると、臨界事故で青い光を見たという報告は海外ではあり、「今回の場合、作業員が見たのは、沈殿槽の水や室内のちりと反応した光とも考えられるが、自分の目の水晶体の中で起こったチェレンコフ光が青白く見えた可能性がある」としている。

目の中でレンズの役割を果たしている水晶体は水分を含んでいる上、透明で、チェレンコフ光が発生する条件を満たしている。

放射線医学総合研究所などによると、光の正体は分からないとしながらも、水晶体は人体の中でも放射線の影響を受けやすい組織だという。

国際放射線防護委員会(ICRP)が勧告している局所的な放射線被ばくの限界値は骨髄細胞や生殖細胞、血管など、水晶体を除くすべての組織は年間500ミリシーベルトなのに対し、水晶体については年間150ミリシーベルトと定めている。

(朝日新聞 1999/10/01)